中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年10月25日
■30万人の中国人
楼さんは2008年にアンゴラに渡った。妻の親族が同地で働いていた縁だという。最初は他人の建築現場の管理職として働いていたが、次第に自分で仕事を引き受けるようになっていった。仕事は順調で5~6人の中国人労働者を雇っていたという。事件の数日前にも数百万ドル規模の仕事を引き受けたばかりだった。
楼さんのようにアンゴラで働く中国人は少なくない。現地の中国人在住者によると、アンゴラに住む中国人はおよそ30万人。うち600人が楼さんと同じ浙江省金華市浦江県出身だという。地縁、血縁のネットワークが強い中国では同一地域出身者が固まる傾向にある。
■世論は政府の「弱腰」を非難
21日、中国商務部西アジア・アフリカ課の謝亜静副課長は、アフリカのインフラ建設費用の3分の2は中国が出資したものと発言、中国の援助がアフリカを助けていると胸を張った(財経網)。また2009年、2010年と2年連続でアフリカ最大の貿易相手国となっている。
政府、そして大企業が乗り込むのはもちろんのこと、一発当てようとする個人経営者も少なくないが、アフリカの一部では反中国感情も高まっていると伝えられる。暴動ではいの一番に中国人商店が狙われたりといった「差別」も少なくない。
中国の国力増強、そして世界中に華人華僑が拡散するにつれ、中国政府はもっと積極的に海外在住の中国人を守るべきとの声が高まっている。先日、韓国排他的経済水域(EEZ)内で操業していた中国漁船が韓国海上警察に拿捕されたが、棍棒やスコップを振りまわして抵抗する中国人船員を取り押さえるため催涙弾や照明弾まで使われる騒ぎとなった(共同・MSN産経)。
不法操業した揚げ句、警察と戦う姿勢を見せた中国人船員が問題なのは間違いないが、中国外交部は世論に押される形で「もっとソフトは法執行をよろしく」と申し入れる事態となった。今回の一件でも、政府の弱腰を避難する声が上がっており、中国政府は悩みのタネとなりそうだ。