中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年10月28日
■世界トップレベルの無線都市・北京を目指して
携帯電話通信網のパンクを避けるため、無線LANを活用する「Wi-Fiオフロード」の動きが世界的に目立つようになってきたという(ITPRO)。その中でも中国は「無線ブロードバンド」普及を国家戦略に掲げ、各都市が争って建設を進めている。
Mobile Bazaar at Arrow Factory / escdotdot
「北京市第12期5カ年計画期間における都市情報化及び重大情報インフラ建設計画」では、2015年までに中国最高レベル、世界トップレベルの無線都市建設を達成するとの意欲的な目標を掲げている。公共区画の全域をカバーし、モバイルブロードバンドの普及率を60%にまで引き上げる数値目標を掲げている。また通信速度も100メガという高速化を目指す。2015年までに基地局は20万カ所を突破する予定だ。
上海市も負けてはいない。今年8月には中国移動(チャイナモバイル)と市政府は枠組協議に調印。中国移動は今後3年間で130億元(約1560億円)を投じて上海市の公衆無線LANを整備する。基地局数は2013年末時点で9万カ所に達する予定だ。
■日本よりも高いけど便利な公衆無線LAN
日本では月額400円程度で使い放題というのが一般的だが、中国では月15時間まで30元(約360円)、月40時間まで50元(約600円)といった時間制プランで提供されている(広東移動)。時間制限だけではなく、月40GBまでという流量制限もついているのが面白いところ。
日本と比べると割高感があるようにも思うが、利用者は結構いるようだ。iPhone取り扱いキャリアではない中国移動だが、シムフリー版iPhoneのユーザーは950万人に達するという。今後3年以内に公衆無線LAN基地局を100万カ所に増やして、iPhoneユーザーからも金をむしり取りたいと意気込みを語っている。
(参照記事:「最速「非正規」入荷は明日、お値段は18万円!iPhone4S世界販売開始」)
確かに日本のような定額制データ通信がない中国では、料金を気にしながら携帯データ通信を使うのは苦痛。それだったら時間制で、しかも速度が速い公衆無線LANがいいやという気にもなるのだろう。