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2011年10月26日
他にもあれこれ書いてありましたが、つまりは農民に対する政府の配慮を示し、農民の健康増進を支援する、ついでに農民に晴れ舞台を用意してあげるといったところのようです。農民運動会なので、農業にかこつけた謎の種目が競われるよう。水稲苗投げ、食糧運びなどがあります。
さて、全国農民運動会の下部大会にあたる省レベルの大会も存在します。広東省では1988年に第1回大会が開かれた後、放置されていたのですが、このたび23年ぶりに開催されることになりました。
*天秤棒レース。濮陽市体育局ウェブサイトより。
■「農民が絶滅したので……」深圳市が不参加を表明
組織委員会が広東省の各都市に参加を要請したところ、20都市が応じました。ところが深圳市と珠海市、広東省を代表する経済特区の2市が申し込んでくれません。そこで申し込み期間を延長してまでお願いしたのですが、深圳市は結局、参加を拒否しました。
深圳市参加拒否の理由は、農民が消失したためというもの。中国では農村戸籍、都市戸籍という区分があり、国民が分断されているのですが、深圳市曰く「うちの市民は全員が都市戸籍。農民はいません」との説明でした。
「都市戸籍でも農業をやっていればOK。医者や教師が参加している例もあるし」と組織委員会は説得したのですが、深圳市は「そんな形式主義に与することはできない」と強硬な態度。最終的には農業企業が開会式に参加するが、選手はださないという妥協点に着地しました。
主催者は「深圳は観覧という形で、農民運動会に参加した」と宣言。自分のメンツを守ることに成功しています。一方の深圳市は「深圳は既に近代都市。農民大会に参加するのはふさわしくない」とあくまで参加してない発言を繰り返しているとのこと。このコメントを見るに、ド田舎と見られたくがないがゆえの不参加表明だったということでしょうか。
■アンケートの結果
おもしろかったのが、『環球網』が実施した「深圳の不参加表明を支持するか?」というネットアンケートです。9割の者が深圳市を支持しています。
コメント欄には、「真実に基づくのが原則だ」「中国は形式主義に基づくものが多すぎる」というものから、「農民がいなくなれば三農問題も解決するし、都市と農村の差別もなくなる。農民などさっさと消えてしまえばいい」という暴論まで飛び出ています。
それどころか、「中国は会議が多すぎる。しかも全部嘘っぱちだ。両会(人民代表大会と政治協商会議)もそうだ。開かなくてもよい。」「社会主義のくそったれ」、「奴隷社会」といった政府批判コメントまであふれていました。
*豚追いレース。広東省第2回農民運動会ウェブサイト。
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*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。