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2011年10月30日
■史上最速の売れ行き!期待の新型機B787
2011年10月27日付財経網は記事「4つのリスクを指摘されたB787=キャンセルラッシュはさらに広がる可能性も」を掲載した。
Boeing 787-8 (N787EX/ZA002 "DREAM LINER") @ ITM/RJOO / Hyougushi
B787は先日、ANAに第1号機が引き渡されたばかりの新型機。従来機と比べ、20%もの燃費向上に成功し、中型機にもかかわらず大型機並の航続距離を誇る。航空業界の構造を変える可能性すらあると期待されているだけあって、量産が始まる前に世界各国から800機もの注文を集めるという「ボーイング社史上最速の売れ行き」を記録している。
■米国会計検査院の懸念
しかし、炭素繊維強化プラスチックなど複合材料を使った新技術を大胆に採用しているだけに安全上のリスクが懸念されている。当初2008年から航空会社への引き渡しを始める予定だったが、実際に引き渡しが始まったのは3年遅れの今年のこと。複合材料の安全性検証も開発の遅れの要因となった。
引き渡しが始まった現在も、完全に不安が解消されたわけではない。先日、米国会計検査院(GAO)はB787に関するリポートを発表したが、運航時の複合材料に関する情報不足、複合材料の独自性に関連する技術的問題、メンテナンスの基準制定、人員の研修とメンテナンスセンター確保という4つのリスクがあると指摘している(ブルームバーグ)。
■中国系航空会社が一斉キャンセルする可能性も
開発の遅れと安全性の問題が影響してか、18日には中国三大航空会社の一つ、東方航空が24機の発注取り消しを発表している(レコードチャイナ)。現在ではさらに南方航空の発注取り消しも噂されるようになった。
ある業界関係者によると、中国航空企業は行動の足並みをそろえることが多いという。東方航空を含め、中国系航空企業6社で計60機を発注しているが、その全機が発注取り消しになるとの観測も浮上しているという。