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中国高官がトヨタ社長を痛烈批判=プラグイン・ハイブリッド技術をめぐる駆け引き(明天)

2011年10月31日

■トヨタを批判する中国政府■

*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやきの許可を得て転載したものです。


前回の6中全会の記事から、かなりの時間が経ってしまいました。いろいろと書きたいことはあるのですが、なかなか時間が取れなくて申し訳ないと思っています。

6中全会のテーマはやはり、「文化体制改革」でしたね。この抽象的な言葉にこめられている意味を端的に説明するば、「人民の思想統制の強化」だと考えていいでしょう。バブル崩壊で中国経済が傾きつつある中、中東のジャスミン革命のような、政府にとって最悪の結果にならないよう、先手を打った結果がこのコミュニケだと言えます。

逆に言えば、このコミュニケには、現在の中国経済に対する危機感が示されているともいえるでしょう。その危機感が直接的に中国の高官の口から発せられたニュースが最近ありました。


Toyota / danielctw



■トヨタ自動車、江蘇省に
中国研究開発センター設立へ

10月22日、中国江蘇省の常熟市でトヨタ自動車の中国研究開発センターの着工式がありました。この研究開発センターで行われるのは、主に中国向けハイブリッド車の研究・開発です。

着工式の席上、豊田章男社長は、「トヨタは第12次5カ年計画期間中(2011年~2015年)、国産のハイブリッドエンジンを搭載した車両を開発し、2015年までに一汽豊田、広汽豊田での生産、販売を実現するよう尽力していく」と宣言しました。

また同社長は「中国の研究開発センターはトヨタの世界の研究開発システムの中では最大規模であり、最も先進的でかぎとなる技術開発センターである。2013年に完成したあとは、トヨタの環境技術の中国における国産化プロセスが推進されるだろう」と胸を張りました。


■中国高官「トヨタは鍵となるときに兄弟を助けていない」

しかしこの着工式に出席した中国側の高官は面白くなかったようです。

環球網によると、着工式に出席した国家発展・改革委員会産業協調司の陳建国副司長は挨拶で、

「国の関係部門は2009年、認証をパスした新エネルギー自動車を持つよう主要自動車企業に要求している。しかし一汽豊田、広汽豊田は新エネルギー自動車の開発していない。トヨタは鍵となるときに兄弟を助けていない」

とトヨタを痛烈に批判するとともに、「新エネルギー自動車は希望の始まりである。立ち遅れたのであれば、立ち遅れた分を取り戻すべきだ。トヨタはプラグイン式ハイブリッド車の生産投入量でトップになってほしい」と期待をこめました。

さらに同副司長は「協力パートナーとの業務提携は、制約なのか。それとも協力・『ウィン・ウィン』なのか。真剣に考えるべき問題であることは確かだ」と述べました。

着工式には同副司長、豊田章男社長のほかに、江蘇省の高官も出席しており、このようなそうそうたる顔ぶれを前にして、上から目線でトヨタを批判するのはなぜか。ここに中国政府のいらだちが見えてしまうのです。


■トヨタが中国で得た苦い経験

国産のハイブリッド車や電気自動車の自主生産は、中国政府にとって経済発展における至上命題となっています。そのために、政府は外国企業による国内でのハイブリッド車の開発・生産を大いに奨励してきました。その目的は、ハイブリッド車の技術を海外から導入し、国産のものとして作り、ひいては中国ブランドのハイブリッド車を世界に売り込むことだといえます。

トヨタは中国でのハイブリッド車の国産化に消極的であったわけではありません。一汽豊田は2006年にすでに国産のハイブリッドエンジンを積んだプリウスを、広汽豊田はカムリでハイブリッド車の中国本土生産を実現しています。しかし、その後、中国国内企業からはトヨタ同様のハイブリッド車があいついで発売されました。

トヨタはハイブリッド車の技術を中国に持って行かれ、中国企業に転用されたという苦い教訓を得たことになります。ここ数年、中国政府が力を入れているのが、コンセントから直接充電できるプラグイン式ハイブリッド車の開発です。プラグイン方式についても、トヨタは優れた技術を持っていますが、先の経験から中国生産に消極的でした。


■プラグイン・ハイブリッドカーを巡る中国、トヨタ双方の思惑


今回の研究開発センターは広州汽車や第一汽車の合弁ではなく、トヨタ自動車の100%資本によるものです。しかも、プラグイン式の国産化を始める2013年までは引き続き輸入車が中国国内に流通することになるわけで、中国はトヨタから技術を学ぶことはできません。

プラグイン式ハイブリッド車の国産化を欲する中国政府と、プラグイン式ハイブリッド車の中国製造に慎重なトヨタ。両者の思惑の衝突がこの着工式で顕在化した格好になりました。

タイ洪水の影響もあり、開発の重心を東南アジアに置くわけには行かない現状をかんがみ、トヨタは中国市場を重視する姿勢を打ち出したとも言えます。このトヨタの政策決定が吉と出るか凶と出るか。そして、中国政府が今後どういう動きに出るかについても注目したいと思います。

関連リンク:
 製造業につきまとう天災リスク(Reuters、2011年10月18日)

*当記事はブログ「中国語翻訳者のつぶやきの許可を得て転載したものです。


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    • 2011年11月04日 01:14
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