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2011年10月31日
バンコクの水が、年末あたりまでに何とか引けて、乾季の間に、タイ政府はどんな長期洪水対策を講ずるのだろうか?水の「入る」を制し、「出」を速める策はあるのだろうか?「入る」を制するのは、ダムでの流量調整である。
*プミポン・ダム。写真はバンコクポストの報道。
■ダム貯水量の1.8倍の降雨
専門家によると、今年の雨季の5ヶ月間に北部のダムの上流に降った雨の量は、例年の1.4~1.5倍で、410億㎥に達したと言う。
2つの巨大ダム、ピン川のプミポン・ダム(容量134億㎥)とナン川のシリキット・ダム(同じく95億㎥)合計の貯水量229億㎥の1.8倍の大雨が降ったことになる。
10月始めには、両ダム合わせて、1日あたり2.9億+0.66億=3.56億㎥の水が流れ込み、1.6億㎥の水を放流したという。それらは下流のナコンサワンの街で合流し、アユタヤ、バンコクに向かった。それでも最盛時は、両ダムに一日2億㎥近くの水が溜まったことになる。
今年の雨季の終わりの雨量から見ると、両ダム合わせて、毎日2億㎥近くずつ水が増え、貯水量は12日ほどで90%が100%になってしまうペースだった。実際に、9月末にはプミポン・ダムとシリキット・ダムの貯水率は、それぞれ93%、99%に上がった。
例年なら、1億㎥ほどずつの純増だろうから、10%ポイント上がるのに1ヶ月近く時間が保てたはずだが……。
■限界がある貯水量調整、求められる「排出量」増大策
仮に、先の大雨を見込んで、すでに6月頃から大量の放流を開始していたと仮定しよう。もしその頃、貯水率を50%程度に抑えられていたとすると(あくまで仮定の数字。水不足の時は50%割れ)、その後3ヶ月平均で、両ダムに溜まる水が、一日純増2.5億㎥だったとしても(一日放水量を1億㎥に抑える)、45日は耐えられたことになるが、それにしても、ダムでコントロールするには厳しい流量だったことが判る。
10数年に一度はやってきそうな異常降雨による洪水の被害を少なくするには、「入る」を制することも必要だが、やはり「いずる」を速める策が必要だ……。既存運河の流量加速化も図られそうだが、それでは不十分かも知れない。
■大運河計画「ウォーター・モーターウェイ」
今、新しく考えられているのは、計画中のアユタヤの北からバンコクの南までを長円形に囲む外郭環状道路3号の外側に、100kmにわたる大運河を作ろうと言うものである。
この「ウォーター・モーターウェイ」は、環状3号線の東側に、深さ8m、幅180mの大運河を100kmに渡り、7年、2200億バーツ(約5680億円)をかけて掘ろうというものだ。
容量だけでも1.44億㎥となる野心的な計画だ。あとは高い流速をどこまで確保できるかだろうが、はたして実現するのだろうか?
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*当記事はブログ「チェンマイUpdate」の許可を得て転載したものです。