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バラエティ番組がお茶の間から消える!中国共産党の娯楽制限令(水彩画)

2011年11月02日

■バラエティ番組は低俗である■

*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。


■文化体制改革の決議採択

10月15日から18日までの日程で開催された六中全会では、「中国共産党中央委員会の文化体制改革を深化させ、社会主義の文化大発展、大繁栄を推進させることに関する若干の重大な問題」という大変長ったらしい決議が全会一致で採択されました。

「社会主義文化」という聞きなれない単語が何度も公報で使われています。辛亥革命でも提唱された「中華民族の偉大な復興」を実現するためのツールという位置づけです。「文化強国」を実現し、国家のソフトパワーを増大させ、「優秀な中華文化」を海外に進出させようという主張です。

ニューヨークのタイムズスクウェアに新華社が広告を出した一件でも明らかですが、肝心のコンテンツに力がなければたんなるバラマキで終わってしまいます。党中央はメディアを宣伝のツールとしてしか捉えていないからなのか、あるいは理解した上でごり押ししているのかわかりませんが、どうしようもないコンテンツに補助金を付けて、輸出をごり押ししていくのでしょうか。


Old broken TV / schmilblick



■メディア検閲を強化

「文化体制改革」というテーマからして、国内メディアの管理強化も議題に上りそうだとは予想していましたが、果たして「テレビ番組の更なる管理強化に関する意見」という規制案が発表されました。

「制限令」が番組7種類の制限を発表専門に低俗問題を審査(新京報、2011年10月26日)

報道によると、規制の内容は以下の通り。

(1)午前6時から午後12時まで、各局少なくとも2時間以上のニュースを放送する

(2)午後6時から11時半まで、2つ以上のニュース番組を放送する。各ニュース番組は30分以上

(3)中華民族の伝統である美徳と社会主義の革新的価値体系の思想道徳建設番組の新設

(4)「婚恋交遊」(ねるとんw)、「才芸競秀」(かくし芸大会)、「情感故事」(トレンディドラマw)、「遊戲競技」(「VS嵐」「SASUKE」のような番組)、「総芸娯楽」(コント、お笑い)、「訪談脱口秀」(トークショー)、「真人秀」(リアリティ番組。アメリカンアイドルをパクった伝説的オーディション番組・超級女声もこのカテゴリー)などの番組については、全国放送衛星チャンネルでの放映数は9番組まで。各テレビ局が放映できる上述の番組は週2番組まで。毎日午後7時半から10時までのゴールデンタイムに放映する場合、1番組90分以内とする。
といった、読むだけで大変つまらなくなりそうな「文化体制改革」の一端であります。特に、(4)では内容についてまで細かく指摘し、バラエティを狙い撃ちにしています。


■人気番組が続々終了……

各テレビ局はすでに対応を進めているもよう。バラエティ番組で人気のある湖南衛視を例に取ると、超級女声の後継番組にして今年も大人気だった快楽女声について、規制案が公表される前、9月の時点で「来年はやらない」と明言。バラエティ番組『我們約會吧』『稱心如意』はゴールデンから昼間に移動することが決まっています。

さらに12年間も続いた『娯楽無極限』は放送終了。『新聞当事人』『平民英雄』『就是要健康』といった、ニュース、生活情報番組がゴールデンに放映される予定です。量と質の両方に規制を加え、「低俗な番組」をゴールデンから駆逐して、党中央の意に沿った「良質な番組」を増やすのが目的なんですね。


■消えゆく「低俗な番組」

党中央が宣伝工作の一環としてメディアを捉えるのはいいものの、視聴率を気にせずに「良質な番組」ばかりお届けするようになったら、お茶の間から人が遠のくのは時間の問題。肝心の宣伝が出来なくなるのですが、中央委員会で扱わなければならないくらい危機感を持っているのでしょう。

人民日報社説「過度の娯楽化抑制はテレビメディアの責任」(人民日報、2011年10月25日)

「番組の娯楽化は西側の影響」と言いたげな社説。中央宣伝部が娯楽番組を目の敵にする理由がさっぱり思いつきませんが、民族復興の名の下に「低俗な番組」は消え行く運命にあるのでしょうか。

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*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。




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