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2011年11月03日
■速度緩まるも、都心へ向け広がる浸水域
現在バンコク都内を南下している北部からの水流は、スピードを緩めながらも確実に都内中心部へ向かって浸水域を広げています。11月1日、都内50区の内20区は浸水を免れると語ったティーラチョン副都知事も2日には「洪水リスクの無い区は既にない。しかし19区は大丈夫だと思う」と前言を撤回。
先日冠水したジェーンワッタナ通りでは日々水かさが増し現在は水深0.5~1.5m。イミグレはスワンプルー・旧イミグレーションで業務を継続しています。
*サイアムラットの報道。
パポンヨーティン通りや、チャトチャック区でも南下する水流により浸水地域での水かさが増しています。バンコク東側ラムイントラ通りからも水は迫っており、こちらは水かさが40~50cm。その影響で現地のセントラル・デパートは営業を停止し、ファッションアイランドも夕方には臨時休業となりました。
先月29日に洪水被害に遭いドンムアン空港から南に10km移転した政府の洪水対策本部ですが、本日既に水は本部から数百メートルの所まで迫っています。
*プラチャチャートの報道。
関連リンク:
【動画あり】タイ洪水 中心部に10キロ(テレビ東京、2011年11月3日)
首都バンコクの避難勧告8地区に タイ、洪水の被害拡大(47NEWS、2011年11月3日)
【動画あり】首都中心部に洪水迫り、対策本部再び被災も(日テレ・Yahoo!ニュース、2011年11月3日)
■首相と地元住民との交渉決裂=水門管理権限を都知事に委任
先日地元住民と、防水壁を守る都職員との間で威嚇発砲等の騒乱があったサムワ運河水門ですが、2日、警察官400人が警備につく物々しい中、水門の修理が開始されました。結局の所、地元住民と必死の交渉を行っていたインラック首相ですが、住民との合意を得る事はできず、水門の管理権限をスクムパン・バンコク都知事に委任し、スクムパン氏は防災法に基づいて(地元住民の意見を取り入れながら)水門修復を開始しました。
もしサムワ水門で水流を管理できなくなった場合、都内のセンセーブ運河に大量の水が流れ込み、その先にあるバンチャン工業団地が、今回の水害での8つ目の冠水工業団地となる可能性が高くなります。
*PDNの報道。
*バンコクポストの報道。
関連リンク:
バンコク洪水防衛線 被災住民が堤防破壊、水門開放強要(newsclip.be、2011年11月3日)
■首相の異様な楽観発言、アピシット元首相が抗議
先日政府の洪水対策本部は、11月第1週明けに状況は大幅に改善すると発表していましたが、アピシット元首相は「確かに排水量は増えているものの、北部からの水もまた南下しつつあり、現にドンムアンでも水かさは増加し続けている」として、安易な見通しが住民の混乱を招いていると政府を非難しました。
確かに先日からのインラック首相は、新たな浸水被害状況には触れず、何かに取り憑かれた様に楽観的なコメントを連発していますが、アジア太平洋観光協会からも、政府の見通しではなく、状況情報を正確に伝えて欲しいとの声が上がっています。
関連リンク:
タイ首相、APEC出席へ 「洪水」説明し信頼回復狙う(日本経済新聞、2011年11月3日)
■浸水した7つの工業団地、排水作業開始の見通し
しかし全く明るい話題が無い訳ではありません。都内に浸水被害はこれから拡大すると見られていますが、これまで冠水した7つの工業団地の排水作業が10日以内に開始される見込みである事がわかりました。うまくいくと排水作業が10日程で終わり、12月半ばには電気・水道が復旧する見込みです。
タイ湾の海面水位は今月10日頃から上昇し14日頃に高潮を迎えます。それまでにより多くの水を海に排水する事が大事ですね。
関連記事:
【タイ大洪水】海外進出企業の被災は自業自得か?残念なムラ社会大国日本(ucci-h)(2011年11月3日)
*ポストトゥデーの報道。
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関連記事:
【タイ大洪水】洪水対策本部、浸水により移転=都西部で節水規制開始(ウチャ)(2011年10月30日)
【タイ大洪水】大潮と満潮が重なり、予測される水位上昇=感染症に注意喚起(ウチャ)(2011年10月29日)
【タイ大洪水】政府の洪水対策失敗、2つの要因=長期化する排水処理(ucci-h)(2011年10月24日)
関連リンク:
注意喚起で入国者数減に拍車(バンコク週報、2011年11月3日)
在タイ日本国大使館ウェブサイト
在タイ日本国大使館公式Twitterアカウント:@JapanEmb_Thai
【洪水】バンコクの有名日本人が激怒! 飲食店で情報だけ得て注文せず帰る客に不快感「いい加減にして」( ロケットニュース24(β)、2011年11月1日)
募金情報:
タイ洪水被害への義援金・募金受付まとめ(メモノメモ)
東南アジア(タイ以外|カンボジア、ベトナム、ミャンマー(ビルマ)、ラオス)の豪雨被害に対する義援金、募金、寄付受付がないか調べてみた(メモノメモ)