中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年11月04日
Mopani Mine in Zambia / photosmith2011
■中国企業批判の急先鋒が新大統領に
世界有数の銅産出国・ザンビア。「アフリカのお友達」を自称する中国も、資源を狙って大挙進出している。中国の投資に牽引され、ザンビアは2010年には7.6%という高成長を達成している。一方で中国企業は現地の法律を守らない、雇用をもたらさないとの批判も根強い。
今年9月、マイケル・サタ新大統領が当選したが、同氏は中国企業批判の急先鋒である。
(関連記事:「もっとザンビア人の利益になる投資を」新大統領、中国企業を批判―ザンビア)
■生々しい証言
今後の中国・ザンビア関係の推移が注目されていたが、2011年11月3日、国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチは報告書「You’ll Be Fired if You Refuse」(拒否するならクビだ)を発表。130ページの大部の報告書で、中国企業の過酷な労働管理、安全基準無視を批判。サタ大統領に中国企業に対する取締りを強化するよう求めている。
報告書の紹介サイトには現地労働者の生々しい証言が記載されているので、紹介したい。
・中色アフリカ鉱業有限公司(NFCA)の坑内クレーンオペレーター
作業環境はきわめて劣悪です。通常、爆破後はほこりや煙がおさまるまで1時間ほど待つ必要があります。しかし、中国の管理者は「行け、行け」と追い立てるのです。言うとおりにしないとクビだと。医者によると、爆破後の気体を吸ったことが、潰瘍や胸の痛みの原因になったといいます。
・NFCAの坑内ボーリングオペレーター
ある時、補強されていない坑道に入るよう言われました。危険だと感じたので断りましたが、給与支払いの時、その日は欠勤扱いになったことを知りました。彼らは私のことをひどく罵り、仕事を辞めろと言っています。契約は更新されないのではないかと不安です。今後はどんなに危険でも言われたとおりに仕事するしかありません。
・精錬企業非正規工
非正規工には呼吸器もヘルメットも支給されません。自分で買うしかないのです。胸や頭部に痛みを感じていますが、治療費も支払われません。国家労働組合が改善を促す書簡を企業に送りましたが、何の動きもありません。最悪だったのは今年3月、ルピヤ・バンダ大統領(当時)が工場を視察した時のことです。非正規工は軟禁されました。大統領の目に触れないようにするためです。
・精錬企業労働者
仕事はきついです。週5日、1日12時間の労働が続きます。シフト変更の日は18時間連続勤務です。休みもありません。食事も作業しながら食べるのです。それなのに残業代は恐ろしく少ないのです。
・精錬企業労働組合代表
中国企業は労働組合の概念を理解していません。彼らは労働組合のリーダーやメンバーを脅します。もし、自分が労働組合のリーダーだと知られると大変なことになります。仕事を辞めるまで嫌がらせが続くのです。
・NFCA労働組合代表
労働組合の関係で、何度も嫌がらせや脅しを受けました。組合から離れた部署に仕事を移されましたし、私が(労働組合の)会議に出ていることが法律違反だとまで言われました。マネージャーは当局の認可を受けていないと言い張ります。許可は得ていたのですが。当局は上からの指示(で認可を取り消した)と説明しています。中国企業のマネージャーは私が辞めるまでマークすると言っています。次はクビにされるでしょう。それも労働組合を邪魔するためです。中国企業はまったく労働組合を尊重しません。彼らは私たち労働組合を敵とみなしています。