中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年11月05日
■トウモロコシ価格高騰と深加工
2011年11月4日、財経網は記事「トウモロコシ価格、史上最高の上げ幅を記録=中央企業による囲い込み、資本ゲーム」を掲載した。
風乾玉米 / abon
中国の穀物生産は8年連続の増収を記録している。しかし、生産量は増えても価格は下がるどころか、上昇を続けている。今季もその傾向は変わらず、収穫シーズ
ン初期には500グラムあたり0.95元(約11.94円)だった価格は先日、1.35元(約16.2円)の高値をつけた。
その要因とし
てやり玉にあげられているのは深加工企業。穀物を加工してバイオ燃料用エタノールやデンプンを製造している企業が需要増を招いていると批判されている。環
境汚染、エネルギー不足に苦しむ中国にとって、バイオ燃料は期待される新たなクリーンエネルギー。政府が多額の補助金を支給していることもあり、深加工企業の勢いは止まらない。
(関連記事:「バイオエタノールはなぜやめられないのか?食料価格決定権を失いつつある中央政府」)
■深加工企業の言い分=中央企業の買い占め
だが、深加工企業にも言い分がある。「自分たちだけが悪者にされるのは勘弁」と声をあげている。彼ら曰く、トウモロコシ価格の高騰に目を着けた中央企業(国
務院直属の大型国有企業)が投機を始めたことが価格高騰の要因になっているという。巨大な穀物庫に大量のトウモロコシを囲い込んでいると伝えられている。
21世紀経済報道によると、農業機械の燃料費高騰、人件費コストの上昇もあり、農民も価格高騰を期待し、売りしぶりを始めているという。
■中国「プチ・バブル」列伝
こうした状況で思い出されるのがニンニクバブル。新型インフルエンザの予防に効果ありという噂から供給が逼迫。値段上昇に目を着けたプレイヤーが次々と参入し、あっという間に価格が釣り上げられ、バブルが
形成された。いち早く動いた目端の利く人間が巨万の富を築いたというエピソードも伝えられたが、「ニンニク儲かるッス」と作付面積が急拡大し、今年に入り、価格は暴落した。
(関連記事:「ニンニク・バブルから1年……今度は価格が急落」)
情報の不透明性と遊休資金の多さから、食料分野に限らずありとあらゆる分野で「プチ・バブル」が形成される中国。トウモロコ
シも新たな「プチ・バブル列伝」に名を連ねるのか。主食や飼料として、一般市民の生活に密着しているトウモロコシだけにもしバブル化したら、ニンニクとは
比較にならない巨大な影響を及ぼしそうだ。