中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年11月06日
中国不動産価格の高騰、そして日本のバブルとの類似性については、日本メディアもたびたび指摘しています。そうした中、日本での関心事は中国のバブルがいつ崩壊するのか、そして日本はその影響をどの程度受けるのかという点でしょう。
Apartments / kevin dooley
■不動産価格、下落
さて、「中国バブルの崩壊がついに……」的な記事は山のようにありますが、この記事もその一つぐらいの軽い気持ちで見ていただければ……。
ご紹介するのは『光明網』掲載の「全国性房企启动大幅度降价 北京频现1.3万低价房」(全国的不動産企業、大幅値下げを開始=北京では1万3000元(約16万円)の低価格物件もざらに)という記事です。記事では北京中原不動産のデータをひいて、成約数の推移を比較しています。
前年比29.6%減、前前年比49.9%減少もの下落です。
成約数だけではなく、ついに価格の下落が始まったというのが最近の衝撃的なトピックです。上海の中海御景煕岸は「グルーポン的フラッシュマーケティング的特売」名目でマンション370件を販売しましたが、その価格は1平方米1.6~1.7万元(約19万7000~21万円)。従来と比べ30%も減少しています。また、マンションと同時に販売された別荘では、1平米3万元(約36万円)から1.75万元(約21万円)まで下落したのだとか。
記事では他にもいくつかの事例を紹介しています。中原不動産によると、大都市だけでなく、地方都市にも価格下落の波は押し寄せているのだとか。杭州で10~20%、成都で5~10%、南京で約10%、天津で5~15%も価格が下がっているそうです。
不動産会社も対策を打ち、物件あたりの販売面積を10~15%拡充。その上で値段を以前の85%~90%に下げ、割安感を演出した物件を販売しているところもあるそうです。それでもなかなか売れないのが現状です。
中原不動産の統計によると、北京では10月に新たに9152戸の住宅が市場に供給されたのですが、売れたのはたったの8.5%だけ。積み上がった在庫は11万8000戸に達しています。前月比で在庫が増える状況が22ケ月連続で続いています。
■なぜ不動産は売れなくなったのか?
不動産バブルからなぜ一転したのか、気になるところですが、その理由はシンプルで、日本のバブルと一緒ではないでしょうか。すなわち、価格上昇局面が続き、供給が増え、ついに限界を超えて供給過剰になったということじゃないか、と。
何にせよ、濡れ手に粟のおいしい不動産投資局面は終了してしまったわけです。それも大都市のみならず、全国的な減少です。
まだ、中国バブルの崩壊とまでは断言できませんが、もしそうなってしまえば、中国バブルの恩恵を受けていた日本も打撃を受けることは間違いありません。世界経済が低迷するなか、中国でも危機が起きれば、これは困ったこととしか言い様がありませんね。
*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。