■ロシアの娯楽について■*当記事はブログ「ロシア駐在日記」の許可を得て転載したものです。
11月3日(金)は、国民統一の日ということでロシアは祝日でした。久しぶりの三連休だったので、最近疲れ気味のタチアナもうれしかったです。ニジニ・ノヴゴロドのクレムリンまで歩きました。このエントリの写真はそのとき撮ったものです。外は‐6℃~-3℃で寒かった!!!
■日本とロシアの「娯楽」の違い
休みということで、前から気になっていた、日本とロシアの「娯楽」の違いについて書こうと思います。
ロシアとは違って、日本では「あらかじめ用意された」娯楽が多いと思います。例えば、カラオケやボーリングです。専用の施設がないとできない遊びなので、典型的な「あらかじめ用意された」娯楽になると思います。ニジニ・ノヴゴロドにもカラオケもボーリングもあるようですけれども、少なくとも周りの人を見ている限りあまり身近な遊びにはなっていないようです。
日本ではスナックに行けば相手してくれる女の子がいますけれども、ロシアはどうもそういう場所はあまりないようです。パチンコもロシアにはない娯楽です。一時期カジノが多くなりましたけれども、今は禁止されています。
野外スポーツ・レジャーについても日本の方があらかじめ用意されている部分が大きいと思います。例えば、日本のスキーは、リフトがないとできないので、あらかじめ施設を用意してもらう必要があります。一方、ロシア人がよくするクロス・カントリーは森でも近くの公園でも簡単にできます。
日本人もロシア人もバーベキューが好きですけれども、ここだって違いがあります。日本の公園などでバーベキューのための「バーベキュー広場」(「テーブル」に「ベンチ」に「火を起こすための場所」)をよく見かけます。一方、ロシアではそういうスペースを私はまだ見たことがありません。皆さん自分なりに色々用意し工夫するしか、ありません。
■道なき道を行くのがハイキング!
ハイキングも同じ違いがあります。日本でハイキングと言えば、道とコース表示のあるところを歩く場合が多いと思います。一方、ロシアはそういうものは一切ないです。今でも忘れられないのは、チェコ人留学生と日本でハイキングに行ったときのこと。山に近づくなり、チェコ人は道を指さしました。
「ここは、日本人が歩くところ」
そして、道なきところを指して、
「でも、私たちはここだ!」
ロシアでは森を歩くとなると、まさにそういう道のないところを歩くことになります。チェコもその点ロシアと同じみたいで、日本のハイキングとは大きく違います。チェコ人の友達が
「日本人が歩くコース」と「我々が歩くコース」の違いをわざわざ強調したのは、決められたコースを歩くのがつまらないと思っていたからにちがいない。
■歩きながらのおしゃべり
今でこそロシアはカフェやレストランが多くなりましたけれども、ソ連のときは友達と集まるとなったら誰かの家しかなかったです。家で集まる他、
歩きながらしゃべることもロシア人たちは今でも好きです。日本人が誰かとしゃべろうとして
「お茶でも」とどこかのお店に入る感覚で、ロシア人たちは
「Пойдем погуляем!」
(お散歩しよう(歩こう))
と言って、街中か公園をひたすら歩いてしゃべることが多いです。
■日本にはない身近な娯楽、「劇場」しかし、日本にはあまり普及していなくてロシアには普通にある娯楽もあります。
それは、劇場です。私が大学生のとき、イルクーツクの大学のロビーでも劇場のチケットが売られていました。一方、日本には劇場が何となく身近になくて、あってもチケットが高くてなかなか行けません。
「劇場のない暮らし」に慣れるまでタチアナはとても物足りなかったです。西洋的な劇場は日本文化ではないので、ロシアほど身近じゃなくても当然かもしれません。しかし、日本古来の歌舞伎でも周りの人が「普通」に行っているという様子はないので、やはりロシアよりも日本の方がこのような娯楽は敷居が高いようです。
■あらかじめ用意された娯楽はないけども
では、ロシア人はどうやって土日を過ごしているのだろうか?夏場だったら、ダーチャか、近くの森や川に行きます。森でベリーやきのこを採って、川で泳いで魚釣りをします。冬はスケートかクロス・カントリースキー、レストラン、友達の家、劇場ぐらいだと思います。
(関連記事:「日本人が知らないロシア市民の豊かな生活=別荘「ダーチャ」での夏期休暇―ロシア駐在日記」)こうして考えると、日本での遊びはお金がかかる場合はほとんどですが、その分準備が少なくて簡単にできます。一方、ロシアはあらかじめ用意された娯楽は少ないので、遊び方も費用も全部自分の工夫次第。
ですから、これから仕事などでロシアで暮らすことになりそうな日本人には
「日本のような便利さ」をあきらめ、仕事だけでなく遊びについても何から何まで自分で計画し実行するという心の準備が必要だと思います。
自分で工夫しその工夫を楽しめるようになれば、ロシアに限らず世の中のどこの国に行っても楽しく過ごせると思います(笑)。
PS:ロシアでも「乗馬」、「専用のソリで滑る大きな滑り台」、「ペイントボール」など、町の郊外を中心に「あらかじめ用意された」遊びが増える傾向にありますので、そのうち状況が変わるのかもしれません。
*当記事はブログ「ロシア駐在日記」の許可を得て転載したものです。