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清掃作業員のストから考える=デモ、スト、暴動が年18万件起きる中国社会

2011年11月07日

いつもとはちょっと違った業種のスト話があったのでご紹介します。それは清掃作業員のストライキ。



■中国の都市を支える清掃作業員の皆さん

ポイ捨てが多いせいか、はたまた労働コストが安いせいかわかりませんが、中国にうじゃうじゃいるのが清掃作業員の皆様。彼らの活躍のおかげで中国の街は清潔さを保っているのです。給料も安く、最低賃金を割り込んでいるケースがほとんどではないでしょうか。

それなのに感謝されることもほとんどないという……。いや、年に1度だけ大々的に感謝される時期がありました。それは旧正月。誰も働きたくない時期なのに、l道には爆竹の残骸が山と積まれている厳しい状況。「居残って掃除を続ける出稼ぎ農民、臨時で清掃作業員となった出稼ぎ農民の皆さん、ありがとう!」的な記事が毎年地方紙を飾ります。


■ストライキ2連発

閑話休題。旧正月をのぞいてはほぼ日陰の存在である清掃作業員たちもストライキをやってみたとのこと。2011年11月4日、広西チワン族自治区南寧市の道路清掃作業員がストライキ。政府機関庁舎前に詰めかける騒ぎとなり、警察も出動したそうです(中国茉莉花革命)。

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そして11月7日、今度は上海市の病院清掃作業員がストライキを決行。病院入り口で座り込みを続け、賃上げを求めています。ある医師は「病院はそれなりのお金を払って清掃会社を頼んでるんだけど、多分そこが作業員さんにちゃんとした給料を払ってないんだよね」とコメントしています(中国茉莉花革命)。

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■年18万件の「群衆事件」

タクシー運転手や工場労働者のストライキはもう見慣れた感があるのですが、清掃作業員のストライキは絵的にもちょっと新鮮な感じがしたのでご紹介しました。

まあ、ぼくらが知らないだけで中国のあちらこちらでこういう事件が起きているわけですが。中国にはストライキ発生件数の正確な統計はありませんが、ストライキ、暴動、陳情、抗議活動、デモなんかを一緒くたにした「群衆事件」というカテゴリーがあります。

清華大学の孫立平教授によると、2010年に発生した群衆事件は18万件!10年前と比べて3倍もの数になっています(財経網)。毎日500件前後こういう騒ぎが起こっている計算であります。ちょっとした騒ぎから暴力事件、何日も続く暴動まで一緒くたにされているので、数だけであーだこーだ決めつけられませんし、革命前夜と騒ぐような状況でもないでしょう。

ただ、なにかあったら、「みんなでレッツ!群衆事件」という感覚が社会に共有されていることは抑えておくべきでしょう。日本でいうと、「困ったら警察に行く、弁護士に相談する」というような問題解決のツールの一つとして、「人間を集めて騒いで注目を集める」という手段が認知されているって、結構大変なことだと思うのです。


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