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FTAで加速する中国・ASEAN間貿易=取り残された日本(ucci-h)

2011年11月08日

■FTAで伸びが加速する中国・アセアン間貿易■

*当記事はブログ「チェンマイUpdate」の許可を得て転載したものです。


■中国・ASEAN間FTA(自由貿易協定)

アセアン諸国では、アメリカの入ってくるTPP(汎太平洋パートナーシップ)への対応もさることながら、隣の大国中国とのFTA(自由貿易協定)が昨年2010年初めから発効してまもなく2年になり、その効果が注目されている。

2国間協定(この場合は、アセアンを一つと見なして協定している)の場合は、それぞれのお国の事情を考慮して主張できるから、比較的まとまりやすい。この「カフタ」(CAFTA、中国アセアン自由貿易協定、アセアンはシンガポール、マレーシア、タイなどのアセアンの中の先進6カ国が調印)の場合、中国もアセアンも経済が伸び盛りであり、交易推進の後押しは効果的に働いているようだ。

中国はアセアンにとって最大の貿易相手国だし、中国にとってもアセアンは3番目に大きな貿易相手地域である。両者の貿易量は、自由化初年度の昨年は2930億ドル(約22兆9000億円)に達し、前年比37.5%の高い伸びとなった。

China Shipping Line
China Shipping Line / bstrasser



■ASEANの貿易特徴


アセアンの貿易の特徴は、以下の4点である。

(1)全体の貿易量は1兆5388億ドル(約120億円)(2009年)にのぼるが、輸出が8105億ドル(約63兆3000億円)と輸入の7284億ドル(約56兆9000億円)を上回っている。出超である。

(2)アセアン10か国中、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシアの4カ国で貿易量の85%を占める。

(3)域内貿易が25%、域外貿易が75%である。

(4)域外の貿易相手国では、中国11.6%、EU(25各国)11.2%、日本10.5%、アメリカ9.7%の4カ国・地域が、全体の43%を占めている。


■明白となっている日中の差


アセアンの日本との貿易シェアは1980年の25.9%から、2009年には10.5%に縮小している。これは、過去ほぼ30年間での日本・アセアン間の貿易の伸びが4.5倍と、アセアン全体の貿易量の伸び11.3倍の半分以下だったためだ。ことに日本のアセアンからの輸入は、3.2倍しか伸びなかった。

カフタの元では、アセアン製品の中国向け関税は、平均0.1%に下げられた。中国製品のアセアン6カ国向けの関税も、0.6%となった。

中国とアセアン間の貿易量は、過去20年で年平均20%で伸びている。今年に入っても、9ヶ月間で貿易量は26.4%増の2670億ドル(約20兆8000億円)となっている(未検証)。世界経済が先進国中心に停滞する中で、この成長地域どおしの貿易は大きな伸びを見せている。

貿易だけでなく、両地域への直接投資も進んでいる。中国からのアセアン地域への投資残高は135億ドル(約1兆50億円)になったが、アセアンからの中国への投資額も全体で673億ドル(約5兆2500億円)にまで達したと見られる。

アセアンとの経済面での交流には中国の並々ならぬ思い入れがある。経済だけでなく、アメリカの経済的包囲網が組まれないためにも先制する必要があり、ベンガル湾を隔てたインドへの対抗もある。

中国・アセアンの連携強化に加えて、中国は日本、韓国も加えたいようだが、この思惑とTPPとはどう重なり合っていくのだろうか。

China on the Rise
China on the Rise / seto_supraenergy


*当記事はブログ「チェンマイUpdate」の許可を得て転載したものです。

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