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【続報】政府から強請られた艾未未と広がる支援の輪=環球時報がダメ記事でバッシング(水彩画)

2011年11月08日

■出来の悪い官製艾未未批判■

*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。


記事「中国政府にゆすられた人権活動家・艾未未=ネット民の悪ふざけ的支援活動がすごい!」の続報です。

まずは前回の訂正から。「ペイパルで振り込めなくなっているのは、党中央が動いたから」と書きましたが、どうやらペイパル側に問題があったようです。突然、少額送金が集中したためと見られますが、復活には2~3日程度かかる見込みです。

Ai Weiwei
Ai Weiwei "Freedom" 自由, 艾未未, pink / Cain and Todd Benson



■渦中の艾未未語る

さて、4月の拘束以来、いくつかの例外はあったにせよ、メディアにでることがほとんどなかった艾未未氏ですが、追徴課税問題を受け、中国メディア、海外メディアの取材に答えています。海外メディアではAFP通信に加え、日本の時事通信のインタビューまで応じています。どうやらこの程度の自由は許されているようです。

追徴課税の艾未未氏、1万人から寄付金集まる 庭に現金投げ込む人も


【11月7日 AFP】中国当局から追徴課税の支払いを命じられた中国の芸術家、艾未未(アイ・ウェイウェイ、Ai Weiwei)氏は7日、支援者らから総額400万元(約4800万円)の寄付金が届けられたことを明らかにした。中には、紙幣を紙飛行機の形に折って自宅の庭に投げ込む人もいたという。

艾氏は今年4月、脱税容疑で拘束され、約3か月後に保釈された後、1500万元(約1億7900万円)に上る追徴課税の支払いを命じられた。支払い期日は11月15日。これに対し、艾氏を支援する寄付の運動が4日に始まり、これまでに1万人以上から寄付金が届けられたという。

艾氏はAFPの取材に「今日(7日)までにおよそ400万元を受け取った」と述べ、「たった今、郵便局から連絡があり、776件の現金送金があると告げられた。取りに行かなければならない」と語った。

日本も人権問題で発言を=追徴課税に反発、当局を訴え-艾未未氏インタビュー・中国
時事通信、2011年11月7日

艾氏は「日本は民主国家であり、人権問題を対話の基礎にすべきだ」と語る一方、「私はこれまで中国の人権問題に対して日本がどういう態度なのか聞いたことがない」と述べ、日本政府も欧米と同様に中国の人権問題で発言するよう求めた。(…)

艾氏はインタビューで「会社の帳簿を見たことがない」と関与を否定。しかし「支払わないと納税拒否罪になる」とし、著名な詩人である父親(故人)の住まいを担保に支払い、税務当局の決定を不服として訴えを起こすことを決定した。

同氏は「税務、公安両当局と裁判所は『一家』だ」として、訴えは無意味だとしながらも、「全世界に誰が間違っているか知らせなければならない。私が声を上げなければ、多くの人が同じ危険な目に遭う」と述べ、「(中国当局の)下品なやり方」と徹底的に闘う方針を示した。


■1億8000万円を支払う奥の手とは?

艾未未「借金して納税」問題を説明(BBC中文、2011年11月7日)

BBCによると、艾未未は「ネット民の金は使わないし、金は全額返す。ネット民には感謝している」と発言。無理やり貸し付けられた金は使わない方針のようです。1万元(約12万円)を寄付した章詒和さんは「皆が思っているほどお金は持っていない」と艾未未の懐具合を証言しています。どうやって追徴課税を支払うのかが気になるところ。実家を担保にして金を借りるにしても、1億8000万円を集められるのでしょうか。

ただ、「追徴課税の具体的な理由を問いただすためには、その権利を買う必要がある。追徴課税を払わないなら、今後事実が明らかになることはないだろう」とコメントしています。追徴課税の正当性を追求するためには、まずいったん納税する必要があるのですが、その上で当局に粘着する意欲まんまんです。勝算があるということでしょうから、これから繰り出される艾未未の奥の手にも注目です。

アイ・ウェイウェイは語る
*今月発売されたばかりの艾未未インタビュー本。「もし芸術家たちが社会の良心を裏切ったら、人間であることの根本原則を裏切ったら、いったい芸術はどこに立っていられるんだい?」。書影クリックでamazonページへ。


■環球時報のつまらなすぎる批判記事

さて、AFP通信でも触れられていましたが、艾未未の主張を伝える記事だけではなく、中国官制メディア・環球時報によるバッシング記事も上がっています。ただし公開後、まもなく削除されてしまいましたが。

・単仁平「艾未未の『借金で納税』はあまりに芝居がかってる」(環球時報、2011年11月7日)

曰く、ネット民の「無理やり貸し付け」運動は違法な資金集めではないかと、最近話題の経済問題にかこつけて批判。まあ、「ネット民のカネは使わない」「私が集めたわけではない。ただ口座番号を公開しただけ」と艾未未氏が記者会見で速攻反論していますが。

また、ベルリンにマンション、北京市に4800平米もの広大なアトリエを所有している艾未未が「本当に借金する必要があるのか」と離間の計も使用しています。いや、たった15日間で不動産を現金化できる方法があるなら苦労しないのですが。

ネット民たちの「無理やり艾未未に金を貸す運動」ですが、艾未未自身が「カネの問題じゃない」と言っているとおり。中国では「行為芸術」(パフォーマンスアート)と呼ばれる、シンボリックな抵抗の運動となっています。環球時報記事も、「彼らは貸し付けを『投票』と見なしている」と正確に捉えているのに、結局わかっていない記事を書いてしまうという……。

後の部分は、「いかにも官製」という雰囲気が充満しています。

「極少数がいつのまにか大多数であるとの錯覚と優越感を持つようになった」
「歴史と真の大衆こそが彼ら(寄付した人たち)の眼力が間違いであると証明するのだ」

といった、いつもの「ひとにぎり論」でお茶を濁す結論の付け方といい、記事の出来は最悪。急ごしらえ感は否めません。ゆっくり練る時間がなかったのでしょう。削除されたのも出来の悪さからでしょうか。あまりのつまらなさに出直して来いと言いたくなりました。

前回記事:
中国政府にゆすられた人権活動家・艾未未=ネット民の悪ふざけ的支援活動がすごい!(水彩画)(2011年11月6日)

関連記事:
アイ・ウェイウェイ拘束について官制メディアが論説=意味不明の記事にツッコミ集まる―中国コラム(2011年4月7日)

*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。


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