中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年11月09日
2011年11月8日、南方都市報が報じた。
■国民は「中国政府の弱腰外交」を批判
10月5日、メコン川のタイ北部流域、いわゆる黄金の三角地帯で、中国輸送船が襲撃され、中国人船員13人が無残な死を遂げた事件が起きた。当初は現地武装勢力による犯行と見られていたが、後にタイ政府は同国軍兵士による犯行だとの衝撃的な事実を発表している。
(関連記事:タイ軍兵士が中国人13人を惨殺した=メコン川中国人船員殺害事件の犯人逮捕)
事件を受け、中国国内では政府の「弱腰外交」を批判し、東南アジアに軍を派遣するべきといった強硬論が浮上した。また、メコン川で水運業に従事していた中国人船員らが大挙帰国するといった問題もあり、なんらかの対応が必要だった。
■中国武装部隊の派遣
10月31日、北京市で中国、ラオス、ミャンマー、タイの4カ国によるメコン川流域執法律安全協力会議が開催され、10月5日の事件の解明とメコン川の安全確保に、4カ国が共同で取り組む方針が示された。
そして11月、早くも中国は具体的な行動を示す方針だという。昆明日報が中国シーサンパンナ瀾滄江船主協会の方友国事務局長のコメントとして報道したところによると、中国は兵士1000人を現地に派遣し、船舶護衛任務に従事させる方針だという。商船を改造した巡視船5隻も動員される。
Chinese Army / hiddenninjaskills
護衛活動は11月25日までに実施される見通し。12月のメコン河流域地域協力(GMS=グレーター・メコン・サブリージョン)経済協力サミットまでに、メコン川の水運を回復させる狙いだ。
国連平和維持活動(PKO)でのハイチへの兵派遣はあったが、中国主導の国際的枠組での兵士派遣、常駐は史上初の事態と見られる。中国人船員の無残な死というアクシデントがきっかけだったとはいえ、中国外交にとってはきわめて大きな意味合いを持つトピックとなった。