中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年11月09日
/ faungg
中国漁船が海上保安庁に拿捕されたのは6日のこと。長崎県五島列島の鳥島沖、日本領海内を航行していた漁船に日本巡視船が停船命令を出したが従わずに逃走した。拿捕後、漁船の張天雄船長は漁業法立入検査忌避の容疑で逮捕された。
昨年の尖閣諸島沖中国漁船衝突事故とは違い、五島列島での事件なので普通に考えたら外交問題になるはずもないのだが、今や中国では「船長」という単語は愛国心をかきたてるキーワードとなってしまった。尖閣を皮切りに、韓国海上警察による中国漁船拿捕、メコン川タイ流域での殺害事件など、かわいそうな目にあった「船長」は後を絶たない。
というわけで、脊髄反射的に「日本許さまじ」と怒っていた中国ネット民も少なくなかったようだ。「もうちょい理性的になろうや」とたしなめる中国語ブログエントリーもあったり(レコードチャイナ)、あるいは中国外交部が「外交問題じゃないよん」とコメントしたりもしているのだが(共同・MSN産経)。
こういう経緯である以上、変に中国に対して怯えることなく、粛々と不法操業容疑で起訴すればいいと思っていたのだが、なんと「立入検査忌避」だけの略式起訴。30万円払っての即時釈放となった。「なんじゃそりゃ?!」とびっくりしたのだが、「船内に漁具はあったが水槽は乾いており、操業した形跡はなかった」とのこと(毎日新聞)。どうやら操業前だったらしい。
それなら慌てて逃げる必要もなかったように思うのだが。「寝ていたら船が流れて日本の領海内に入った」「海上保安部の船が怖いので逃げた」とどじっ子コメントを残しているが(FNN)、あながちウソではないのだろうか。