中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年11月10日
■チェンマイでもモノがない
タイの洪水の経済的被害は、徐々に広がり始めている。すでに、水に縁のなくなった(乾季入りしたもようの)チェンマイでも、スーパーの棚にはシンハ・ビールがなく、食堂に行ってもコカ・コーラが切れ、家にヤクルトの配達がなくなった。この後2ヶ月は、耐乏生活を余儀なくされようか?
しかし、さわやかな気候になったチェンマイはいい。バンコクの商店からは軒並み客足が遠のいているようだ。中心のサヤム・スクエア(日本で言えば、銀座、いや新宿か)のお店の売上げは、半分から7割減だと言う。ことに不要不急の化粧品や装飾品の店は打撃を受けている。昨年3 ~5月のバンコク暴動から回復の年になるはずだったが、かわいそうなことだ。
■観光客減を加速させた空港写真
海外からの観光客ももちろん減っている。これを加速したのが、タイ航空の航空機が足元まで水没している空港の写真だ。十分説明がないセンセーショナルな写真のために、ドンムアン空港でなく、主要空港のスワナプームが水没したと海外では多く取られたと言う。風評被害ならぬ、マスメディア被害である。
*bangkok postの報道。
スワナプーム空港では、空港閉鎖の懸念を払拭するために、11月4日(金)には、内外の記者を招いて、いかに空港の防水、排水設備が整っているかを認識してもらおうとしたが、カメラマンが写真に収め、週末の新聞に載ったのは、地味な防水設備ではなく、空港そばの貯水池の水の上をかすめて航空機が飛んでいく写真だったという。逆効果になった。
スワナプーム空港は高さ3.5mの岸壁で囲まれているという。2000年にできたこの壁は、先日穴を開け強度を試されたが、非常に頑強ということだ。また、空港の下には400万トンの水を貯めれる貯水場と排水溝が整っているという。2箇所のポンプ・ステーションの計8つのポンプは、1日100万トンの排水能力をもつ。また、空港の排水パイプは、よそから独立しており、他からの影響は受けないそうだ。
空港から街への足、また水害のないプーケットやサムイ、チェンマイへの便は確保されている。それでも、日本やアメリカなどからは渡航延期の勧めが10月末に出ているので、影響は避けられないだろう。
「チェンマイやプーケットは問題なし」と聞いて、タイへ来るアメリカ人と、「そうは言っても、何かあったら何を言われるかわからない」と自粛する日本人と、どちらが多いだろうか?
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【タイ大洪水】海外進出企業の被災は自業自得か?残念なムラ社会大国日本(ucci-h)(2011年11月3日)
*当記事は2011年11月7日付ブログ「チェンマイUpdate」の許可を得て転載したものです。