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2011年11月12日
*bangkok postの報道。
■明暗を分けたトヨタとホンダ
タイの洪水で、タイにおける自動車メーカー1、2位のトヨタとホンダは、明暗を分けてしまった。トヨタはサムート・プラカンとチャチェンサオにある3工場が(まだ)冠水しなかったのに対し、ホンダのアユタヤ・ロジャナの主力工場は3mの水に没した。
トヨタは部品工場でやられたものがあるが、なんとか11月21日から操業再開をしたいと言っている。これに対して、ホンダの工場のあるロジャナ工業団地では、なお1400万トンの水が貯まっている。これを一日50万トンのペースで排水し、12月半ばまでに水をかき出そうという計画である。ホンダはバンコクのラット・クラバン工業団地にもバイク工場を持っているが、こちらは今のところ耐え切っている状況だ。
ホンダの場合、アユタヤ・ロジャナの水が今月中に引かなければ、工場再開は来年5月になると見られている。工場のダメージを検査して、必要な機械を補修ないしは取り替えるのに数ヶ月はかかる見込みだからだ。
■半年近く在庫なし?悲惨なホンダディーラーたち
かわいそうなのは、ホンダ・ディラー達である。10月始めの水没時に1万台生産され、そのうち何千台かは出荷されたが、4千台が冠水したロジャナ工場に残された。多くは、ドンムアン空港の高台に移されたと言うが……。
ディーラーの在庫は、あとひと月ほどで尽きてしまうと見られる。そうすると、その後5ヶ月間ほどの間、ホンダのディーラーは完全に在庫がなくなってしまう。1~2ヶ月なら予約販売で凌げようが、5ヶ月ともなるときつい。ホンダのタイにおける4輪車の生産能力は年24万台。洪水前は年17万台(月1.4万台)のペースで生産を続けていた。
ホンダは、この緊急時に当たり、政府に対してディーラーを助けるために完成車の無税輸入許可(通常は乗用車は80%の関税)を申請しているが、実現は難しそうだ。ライバル・メーカーは、「1社だけが特典を受けるべきではない」と反対しているし、政府としても貴重な収入源を減らしたくないところだろう。
がんばれ、ホンダ!
Solo Logo / JD Hancock
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*当記事は2011年11月10日付ブログ「チェンマイUpdate」の許可を得て転載したものです。