中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年11月11日
American Airlines Approach / lrargerich
■世界第2位の外国人旅行客数
1年間にアメリカへ渡る外国人旅行客の数は、日本政府観光局のまとめによると、2009年で5488万人(一日あたり15万人)と、陸続きで外国人の多い首位のフランス(7420万人)に次ぐ、世界第2位の位置にある。スペイン、中国、イタリアを上回る。日本の8倍の旅行客数だ。
史上最高を記録するアジア太平洋への旅行客(チェンマイUpdate、2011年2月27日)
と言って、アメリカが観光立国という話は聞かない。むしろ指紋採取を含めた厳しい入国管理、短期訪問はビザなしでも事前の電子認証が必要なこと、また入国審査料や国際通行税など、入出国時あれやこれやで55.3ドル(約4290円)ほども取られる「入場料」。「どうぞいらっしゃい」の国ではなく、「しゃあない、入れてやるよ」の国である。
年間外国人入国者が5千万人を超えているのは、隣国のカナダ、メキシコからの日帰りも含めて入出国者が多いためである。米国への訪問客(2010年は5974万人)の3分の1、1966万人、およそ2千万人はカナダ人だ。22%にあたる1342万人がメキシコ人、両隣りの国あわせて、全体の55%を占める。
米入国者数第3位の英国は、385万人で6.4%、第4位の日本が339万人で5.7%、第5位ドイツ173万人(2.9%)、第6位フランス134万人(2.2%)と、海外からは必ずしもそう多くはない。
■観光促進に動き出したアメリカ
そのアメリカが、いま「貧困大国」から脱皮するために、観光業にも力を入れようとしている。2010年3月に、「CTP」(旅行推進公社)を設立し、「ザUSオブ・オーサム・ポッシビリティー」(素晴らしい可能性のアメリカ)をうたい文句に、2020年までに海外からの旅行客を増やし、130万人の雇用(現在の失業者数1400万人の9%)を生み出すつもりである。
現在、アメリカの観光業は、GDP(14.5兆ドル(約1120兆円))の2.8%にあたる4060億ドル(約31兆5000億円)を生み出し(国際観光だけだと1344億ドル(約10兆4000億円))、752万人に職を提供していると言われる。これを大きく伸ばすのだ。ちなみに、タイランドの観光業はGDP比6%の所得を生み出し、180万を雇用していると言われる。
さて、アメリカの「オーサム・アメリカ」による観光業の拡大は、景気浮揚、雇用増につながるだろうか。アメリカへの「入国税」は下がるのだろうか?それとも歳入増をめざし逆に上げて来るのだろうか……(それじゃあ。困るが)。
*当記事はブログ「チェンマイUpdate」の許可を得て転載したものです。