■祝儞們一路平安■
*当記事は2011年5月12日付ブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の許可を得て転載したものです。
『中国嫁日記』の井上純弌さんが中国嫁ラブコメ漫画『一路平安』を絶賛しています。

この『一路平安』に対する中国人の反応について、当サイト寄稿者である、ブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」を運営されている阿井幸作さんが5月時点で記事を書いていたので、ご紹介します。(Chinanews)
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中国のオタニュース、というか日本のアニメや漫画に対する中国人オタクの反応が見られる動画サイトAcFun.tvに気になるスレッドがありました。
『日本死宅!放開那個天朝妹子!(日本のクソオタ!その天朝娘を放せ!)』(AcFun.tv)
*天朝:ネット用語で「中華人民共和国」の意。
■中国人美少女とオタ学生の交流を描いた漫画『一路平安』日本人のオタクが中国人の可愛い女の子と付き合っているコスプレ写真でも掲載してるのかなと思ってクリックしてみたところ、出て来たのが別冊少年マガジン連載している小林尽の漫画『
一路平安』です。
【あらすじ】
浪人生の孔明はアニメとネットにどっぷりはまり、ただいま青春停止中。ある日、深夜のコンビニに出かけた帰り道でロードレーサーに乗る中国人美少女と正面衝突してしまい、なぜか彼女の道案内を引き受けることに!引きこもり少年の孔明と中国人美少女・妙芙の青春自転車二人旅が始まります!!
■中国でも人気がある作者・小林尽の作品小林尽と言えば代表作の『
スクールランブル』と『
夏のあらし』がアニメ化されてyoukuなどにもアップされているので、中国でも比較的知られている漫画家でしょう。 その作者の新連載漫画に登場するヒロインが中国人の女の子ってところが中国人のクソオタたちの目に止まったようです。

*別冊少年マガジンで連載中。主人公の日本人の少年は当然中国語を話せませんし、この女の子は日本語が上手くなさそうです。

ここでは女の子の台詞の上に
ピンインと四声(アルファベット上のマーク)が書かれていますが、原文では日本語のルビが振られているんでしょうか。

そして主人公が力を借りるのがアニメ動画の中国語字幕。必死に記憶を辿って今の状況に適した中国語の台詞をサラッと言ってのけます。(これ原文でも流暢な中国語を喋っているんですか?)
■新作よりスクランが気になる中国人オタクたちスレッドのタイトルと相反して掲示板のコメントは穏やかなもので、作品への悪口は見当たりません。
ヒロインがスクランの八雲そっくりじゃねぇか
スクランのラスト返せよ
播磨と八雲を返せよ小林バカ
とかばかりで、オマエラもうスクールランブルは終わったんだから蒸し返すなよ。 じゃあ百度の掲示板ならどうかと覗いてみたら「
小林尽○ねよ」という不穏なタイトルのスレが立っています。おいおい百度じゃけっこう叩かれているのかとスレッドを開いたら、2008年7月付けの投稿で、「スクールランブルをあんなラストにしやがってよぉ」という恨み言が書かれていました。
スクランのラストってそんなに酷かったのか……?
■個人的感想言葉の壁を破壊するために主人公が頼ったのが、中国人がネットにアップしたアニメ動画っていうのがとても面白くて、親近感が沸きます。
中国人がアニメや漫画を通じて日本語を学ぶ光景はもうありふれたものになりましたが、日本人だってそれらに付けられた中国語字幕を見て、なるほどここの日本語はこう訳すんだと勉強することもあります。もちろん字幕は信用できない翻訳を元にしていることがあるので、誤訳なんか多々あるわけですけど。
ただし、この掲示板でも突っ込まれていますが、文字を見ただけであの難しい中国語の発音まで学び取ることは不可能です。アニメの字幕文から中国人に通用する中国語を話せるこの主人公はきっとただ者ではありません。
しかし、このぐらいのフィクションを気にしていたら漫画は楽しめないでしょう。『
クロサギ』の黒崎君なんかいつの間にか中国語を話せるようになって上海の詐欺師をはめてますし。
あと、外国人と話し慣れている中国人ってこっちの中国語の発音が多少デタラメでも、だいたいこんなことを言いたいのだなと意味を理解してくれますから、このヒロインがとっても気が利く人って解釈もできなくもないです。
■予想今後は主人公が誤訳を喋ったり、とんでもねぇ意訳を口走ってヒロインに迷惑をかけたりするんでしょうか。そして中国人読者は漫画に登場した中国語台詞の元ネタ探しとかに励むんでしょうかね。
1話を見る限りでは、主人公が借りた台詞は最近のアニメから持ってきたものではないようなので苦労しそうですし、そもそも掲示板ではそこらへんのこと全然触れられていませんけど。
*当記事は2011年5月12日付ブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の許可を得て転載したものです。