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モバゲーさん大丈夫?!ソーシャルゲーム先進国・中国では1年前にブーム終了か

2011年11月12日

モバゲーを運営するDeNAが横浜ベイスターズを買収するなど、日本ではソーシャルゲームが絶好調だが、「先進国」中国ではすでにピークが過ぎ、売り上げが下落傾向にあるという。


■グルーポン系サイトで大赤字

2011年11月11日、中国SNS大手・人人網を運営する人人公司は第3四半期の財務報告書を発表した。営業収入は前年同期比57%増の3420万ドル(約26億7000万円)を記録したものの、120万ドル(約9370万円)の純損失と赤字に転落している(京華時報)。

20111112_写真_人人網
*画像は人人網のログインページ。

業績の足を引っ張ったのは人人網旗下のグルーポン系サイト・糯米網だ。糯米網の運営費は810万ドル(約6億3200万円)。さらに人人網の販売広告費は前年比274%増の1890万ドル(約14億8000万円)を記録したが、増加分のほとんどは糯米網の宣伝費及び営業チームの人件費だという。

これだけ資金を突っ込んだにもかかわらず、糯米網の営業収入はわずか170万ドル(約1億3300万円)で、740万ドル(約5億7800万円)の損失を計上している。

記事「生存率0.1%?!5000サイトがひしめく中国グルーポン系サイトは「冬眠の時代」に」でも取り上げたとおり、冬の時代が到来した。各社の出血大サービスによりグルーポン系サービスは定着したが、一方で収益をあげることは難しく、大淘汰へと突き進むことは間違いなさそうだ。


■中国ソーシャルゲーム業界は1年前にピークを迎えていた

さて、この財務報告書発表会で、もう一つ注目を集めたのがソーシャルゲームの不振だ(捜狐IT)。発表会でのやりとりを訳出する。太字強調はChinanews。

Q:
人人公司の財務報告書には「その他ネット付加価値サービス」という項目がありますが、具体的には何を指しているのでしょうか。ここ数カ月にわたりマイナスが続いているようですが、原因はなんですか?

人人:
その項目はVIP有料会員とソーシャルゲームの収入です。VIPソーシャル会員収入は上昇が続いていますが、現時点では「その他ネット付加価値サービス」のほとんどはソーシャルゲームの売り上げによって構成されています。中国ソーシャルゲームの利益は西側諸国とは比べものになりません。これは他社でも同じです。

我々にとって、ソーシャルゲームはアクティブユーザー率を向上させ、会員を引き留めるのが目的です。利益が第一目的ではないのです。今後は有料会員型付加価値サービスに注力し、ソーシャルゲームは重視しない方針です。

Q:
ソーシャルゲームの利益は、ウォール街で予想されていたほどではなかったわけですね。それは有料ユーザーが少ないためでしょうか、それともARPU(ユーザー1人あたり売り上げ)が低かったためでしょうか?

人人:
中国のソーシャルゲーム市場は、私たちの「開心牧場」からスタートしました。同ゲームは事実上、世界初のソーシャルゲームと言っていいでしょう。ソーシャルゲームのアクティヴィティ及び収益能力は1年前、あるいはそれ以前だったかもしれませんが、ピークを迎えたと私たちは考えています。

20111112_写真_ソーシャルゲーム_開心牧場
*画像は開心牧場。

これは業界全体の傾向であり、Facebookでもあるいは同様の状況ではないでしょうか。正確なデータを持っているわけではありませんが、このように感じています。ソーシャルゲームが登場した直後はきわめて新鮮なものとして受け入れられ、深夜2時、3時まで友達の野菜を盗んでいました。今ではそうした状況はきわめてまれです。新鮮さはすでに失われました。中国ソーシャルゲーム業界は1年前にピークを迎えていたのです。


■日本より早く流行し、日本より早くブームが去った

人人網の農場系ソーシャルゲーム「開心牧場」が「事実上世界初のソーシャルゲーム」だったかはともかくとして、牧場系ゲームの走りであったことは間違いない。開心牧場はは2008年末にサービス開始。FacebookゲームのFarmVille、Mixiのサンシャイン牧場は2009年にスタートしている。

中国ではゲームの真似をして実際に野菜泥棒をした少年が逮捕されるなど、社会現象的なブームとなったがすでに一時期の熱気は失われた……というのが人人網の主張だ。これが中国特有の現象なのか、はたまたMafia War、怪盗ロワイヤルのような牧場系以外のヒットゲームを生み出せなかったためなのかは判断が難しいところ。

しかし、日本よりも早くソーシャルゲームが流行した中国で、日本よりも早くブームが去ったという指摘はなかなかに考えさせられる。

DeNAの横浜ベイスターズ買収、ソーシャルゲームに押されての(?)任天堂の赤字転落、ソーシャルゲームに参入した大手ゲーム企業の好業績など、「ビバ!ソーシャルゲーム」の大合唱の最中にある日本。果たして「先進国」中国の後を追ってブームは終了するのか、はたまた成長を続けるのだろうか。


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