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2011年11月15日
『南方日報』に「湖北一官员出游遇车祸死亡 官方否认追认烈士」(湖北省官僚、旅行中に自動車事故で死亡=当局は烈士としての追悼を否定)という記事がありました。
■局長の交通事故死
湖北省老河口市の食品薬品監督局の陳本俊局長、不動産業者・喬建新、老河口市政治協商会議の朱志軍副主席が、食品薬品監督局ドライバーの運転で武当山を旅行している最中、交通事故にあいました。陳局長と喬建新が死亡、朱副主席が重傷で入院という大事故で、運転手は警察に逮捕されています。
(武当山:湖北省十堰市にある名山。道教武当派の発祥の地として有名。世界遺産に認定されている。)
さて、ちょっと面白いのがここから。重傷を負った朱副主席曰く、「老河口市への投資を知り合いに頼むための『出張』だった。公務中の事故死なので、陳局長は烈士として追悼していただきたい。遺族もそれを望んでいる」、と。
このご無体な要求がマスコミにさらされ、「本当に仕事での出張だったのか、旅行じゃなかったのか?」とのバッシング。結局、当局は「週末を利用して、資本誘致のためにでかけた」とのあいまいな説明で逃げ、本当に公務だったのか、烈士として承認するのかという話への回答を避けています。
まあ、中国では「三公消費」(公費旅行、公用車、公費での飲食)が官僚のムダ遣いの代表格とされています。「出張」だったと信じている人は誰もいないでしょう。
この上、「烈士」(革命のために命を落とした人を追悼する称号)としての追悼まで要求するというのは強欲そのもの。承認されれば、遺族への補償やら就職や進学への便宜やらがあるので、官僚仲間による同情なのでしょうが、少々やりすぎてしまっての騒ぎとなりました。
*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。