中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年11月15日
Honolua Jungle / mikebelgard@sbcglobal.net
■懸賞金付き指名手配犯となったエリート銀行員
「汚職官僚、国有企業幹部の贈収賄、経費乱用、公費横領」は中国では日常茶飯事。中国社会科学院の報告書『中国腐敗分子による海外への資産移転ルート及びその観測方法に関する研究』によると、1990年代中期から中国を「脱出」した汚職官僚の数は1万6000~1万8000人。持ち出した資金は8000億元(約1兆円)に達するという。
(関連記事:汚職官僚1万6000人が海外に逃亡、持ち出した金は1兆円!―中国)
汚職官僚の逃亡先といえば、海外と相場が決まっているものだが、中国農業銀行海南省分行臨高県支店の陳建学副支店長はちょっと変わった「逃亡スタイル」を選んでいる。
2003年12月、臨高県支店の会計監査で、巨額の資金消失が判明した。34人が指名手配される騒ぎとなったが、陳は嵐のように逃げ去ることに成功。警察は逃げ込んでいそうな農村や山をしらみつぶしに捜査したが、発見できず。2005年には懸賞金10万元(約120万円)の指名手配をかけたが、結局逮捕できなかった。陳の逃亡生活は8年にわたったが、今年11月、自首している。
■レンジャー能力の発現
気になるのはなぜ警察の追っ手を逃れることができたのかだが、たぐいまれなる「レンジャー能力」のおかげだという。
逃亡初期、山に逃げ込んでいた陳は警察の捜索隊とニアミス。あわてて山の中の小川に飛び込み、川べりにあった小さな洞窟に駆け込んだ。入り口を木の葉で隠しやりすごすことに成功した。銃を持った警官が通り過ぎる姿がはっきり見えるほど接近していたと陳は供述している。結局、陳は丸2日、洞窟の中に隠れ続けた。食事は一切なし。夜陰にまぎれて小川まで行き、水を飲んだだけだったという。
この経験を元に陳は自分の隠れ家を用意するようになった。すなわち手製のトンネルだ。いずれも人間一人がどうにか入るぐらいの小さなもので、枯れ葉などで入り口はカモフラージュされている。陳はそのトンネルを転々とする逃亡生活を続けた。危険を感じた時などは、2カ月にわたりトンネルからでなかったという。
■妻と普通の生活を送りたい
その陳が自首したのは、ある新聞記事を目にしたためだった。山中でのレンジャー生活を続けながらも新聞や雑誌を読み、時事、政治の勉強を欠かさなかったという。さすがエリート銀行員といったところだが、ある新聞を見ている時に目にしたのは「逃亡犯に自首を勧める通告」という公告記事。自首すれば減刑などの配慮があると知った陳は自首を決めた。
陳は言う。「私は今42歳です。妻に言いました。(刑期を終えたら)一緒に暮らそう、と。生まれ故郷の村に戻って日の出とともに起きて日の入りとともに寝る、そんな普通の生活をしよう、と。」
こういう表現はむこうでは一般的なのでしょうか?
鼓腹撃壌を連想してしまったのですが