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2011年11月16日
14日、新邵県潭府郷躍進村で、李国慶さんの葬式が行われていた。李さんはいわゆる「五保戸」、労働能力がなく政府から現金や衣料品、燃料の支給を受けて暮らしていた。家も1980年代に建てられた土作りで、村内でも最も粗末な家だったという。「危険家屋」として政府の調査を受けたこともあったほどだったが、補強することもなくそのまま暮らしていた。
貧しく、他の村民ともほとんど交流がなかった李さんだが、さすがに葬式ともなれば、村人たちも集まってくる。ちなみに李さんが暮らしていたのはいわゆる「宗族村」で、ほとんどの住民が同じ「李」の名字を持つ一族だ。
13日と14日、2日連続で葬式が行われ、事故が起きた時は狭い家の中に20人以上もの人がいた。うち4人は葬式を執りおこなう道士だった。3人が太鼓、銅鑼、チャルメラの楽器を鳴らし、残る1人が念仏をあげていた。
事故が起こったのはその時のことだった。古い危険家屋は20人もの人の重みに耐えられなかったと見られ、倒壊した。重い土の壁や木の柱に押しつぶされ10人が死亡、12人が負傷した。がれきを取り除くと、道士は葬式の儀式そのまま、跪いた格好で息を引き取っていたという。
写真といいエピソードといい、わびさびが聞いているというかなんというか。貧困の農民、葬式を執りおこなう道士、土作りの危険家屋、宗族村と、中国の田舎事情がじんわり伝わってくる記事である。
*画像は新華網の報道。