中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年11月16日
Constructing away my view / tyler_haglund
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■低所得者向け住宅の着工数、1000万戸突破
さて、最近私の目に留まった中国のニュースはいくつかあるのですが、今回は住宅関連のニュースを1つ。住房・城郷建設部は10日、「保障性住宅(低所得者向けの住宅)の着工数が1000万戸を上回り、年初に定めた目標を1カ月前倒しで達成した」と発表しました。
年内までに保障性住宅1000万戸建設という目標は、2011年3月5日の全人代会議開幕の際、温家宝総理が活動報告の中で提起したものです。それを受けて同月、国務院は今年1000万戸の保障性住宅を建設するという目標実現に当たり、11月末までに必ずすべて同数の住宅を着工させるようにとの通達を出していました。
■誤算だった不動産住宅価格の大暴落
温家宝総理が全人大会議の際に提起したこの目標は、住宅価格高騰により低所得者が住宅を手に入れることが難しかったという昨年から今年初めにかけての住宅事情をにらんで提起されたものです。
しかしあれから、中国国内を取り巻く住宅事情は大きく変化しました。この半年の間に不動産住宅価格は「大暴落」といってもいいぐらいの下落を記録。地方政府の懐事情も厳しくなり、保障性住宅建設の建設資金捻出が」困難になっています。そのため、目標達成は難しいと見られていた中での発表は、国内外の関係者を驚かせるものとなりました。
■「竣工」ではなく「着工」というマジック
実際のところ、この「着工」という言葉がくせ者です。斉驥住房・城郷建設部は11月10日の中央テレビのインタビューで次のように説明しています。
着工した1000万戸の中で、約3分の1は比較的早い時期着工した比較的小規模のプロジェクトであり、すでに棟上まで終わっている。比較的遅い時期に工事が始まった3分の1は、基礎部分が完成した状態であり、地上部分の建設を始めるところである。残りの3分の1には、着工を急ぎすぎた状況が存在している。このことについては住房・城郷建設部は通達を出し、年末までに基礎部分の施工を終えるようにとの要求を出している。