中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年11月17日
*ASEAN(東南アジア諸国連合)
■ミャンマー、ASEAN議長国就任へ
ビルマ(ミャンマー)の新政権が、念願の「2014年アセアン議長国」の席をほぼ手中にした。インドネシアのバリ島にアセアンの閣僚が集まってきているが、今週末のアセアンの閣僚会議で認められる見込みだ。
(関連リンク:「ミャンマー 議長国就任決定へ」NHKニュース、2011年11月17日、5時27分)
アセアン議長席の意味合いは、ビルマにとってとてつもなく大きい。過去、軍事抑圧体制から、アセアンの主要国にもかかわらず認められることはなかったが、ここに来ての急速な開放路線の進展により、2014年の議長国となることは間違いなさそうだ。
アセアン議長国となれば、いわば世界への民主国家としてのパスポートを手に入れたようなものである。早晩、西側の経済制裁の撤廃にも威力を発揮できよう。アセアン諸国にしても、ここで再びビルマを拒否すれば、また軍政へ立ち戻る可能性が恐れられている。
*チャネル・ニュース・アジアの報道。ヤンゴンの刑務所。
■「政治犯釈放」という外交カード
興味深いのは、アセアンの会議を控えた11月13日、2度目の政治犯釈放の話が出たが、これが14日には棚上げとなったことだ。ビルマとして、西側の譲歩を引き出す最大の切り札は使い切ってしまわないということだろうか(アセアン議長席は確保できたようだし)。
(関連リンク:「ミャンマー 政治犯追加釈放か スー・チーさん補選出馬も」(MSN産経、2011年11月15日)
内部では、いかに釈放を行っていくのが、国内の体制維持の面でも効果的なのか議論があるようだ。俗に政治犯は2100人ほどいるといわれるが(10月に200~300人を釈放ずみ)、最近の情報では500人程度ではないかともいわれている。いずれにせよ、なお学生デモの指導者や政治家、法律家が囚われていることは間違いない。ビルマは、この第2次、第3次のカードをいつ切ってくるのであろうか。
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関連リンク:
ミャンマー:分割統治の手法継承 - 毎日jp(毎日新聞、2011年11月17日)
ASEAN:ミャンマーの議長国就任で合意 外相会議 - 毎日jp(毎日新聞、2011年11月16日)
*当記事は2011年11月16日付ブログ「チェンマイUpdate」の許可を得て転載したものです。