■艾未未に800万元が貸し付けられる■
*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。
現代芸術家にして人権活動家として知られる艾未未(アイ・ウェイウェイ)。中国当局はいいがかりとしか思えない脱税容疑を宣告し、1500万元(約1億8000万円)の追徴課税を宣告しました。一方、艾未未支持のネット民たちは、「公開されている口座に勝手に金を振り込み、貸し付ける運動」で対抗しています。
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追徴課税の納付期限は16日。口座に勝手に振り込んだり、自宅やアトリエに現金を投げ込んだりして、「強制的に貸し付けた」総額は13日までに約869万元(約1億円)に達しました。遠く海南島から、片道1日かけて金を貸しに来た支持者までいたようです。

*2011年10月に発売された艾未未インタビュー本。「もし芸術家たちが社会の良心を裏切ったら、人間であることの根本原則を裏切ったら、いったい芸術はどこに立っていられるんだい?」。書影クリックでamazonページへ。■盛り上がりを読み違えた中国当局
1500万元(約1億8000万円)には届かなかったものの、とりあえず保証金とするには十分な額となりました。「艾未未に募金するのはごく少数。中国人を代表するものではない」といつもの調子で批判していた環球時報は赤っ恥を書きました。確かに募金者はたったの2万8000人ですからね。そこには外国人も含まれているでしょうし、極少数かもしれませんね~~(棒読み)。
艾未未問題の盛り上がりを受け、五毛党
(政府に都合のよい書き込みをするネット工作員)さんも大量発生しています。艾未未関連のツイートを訳している
@tkucminyaさん周辺にも五毛党がわいては、「艾未未と劉暁波は西側の反共基金に飼われた、中国政府を転覆しようと画策する走狗」「艾未未は重婚で愛人もいる」と実にわかりやすいコメントを残してくれています。
ツイッターだと、「フォロワーは0、アイコンが初期設定のタマゴのまま、ついでにつぶやく内容もアレ」と大変わかりやすいのですが、さすがにここ数日でアイコンを変えることは覚えたみたいです。フォロワー0は変わりませんけど。
■歌う艾未未と
オリジナル借用書本人は「募金じゃなくて借金。いつか全部返す」と発言。あくまで寄付ではなく、「借りた」と強調しています。「返す必要はないよ」という人が多いなかで、自分の意志を貫いているわけですが、一方で債権者の無茶振りにも応えてくれるお茶目さもあります。
ipad片手に童謡「草泥马」を熱唱する艾未未さん。ちなみに「草泥马」とは「操你妈」(F●uk)のかけことばです。途中で息切れしてんじゃねえか!という突っ込みはやめてください。ムショ帰りなので体力が無いのです。歌詞をしっかり覚えて練習すれば、もうちょっと仕上がりも良くなると思います。
また金を貸した債権者には艾未未デザインの
オリジナル借用書が送られるようです。
古色蒼然たる味わいのある、艾未未自ら署名した借用証が完成しました。債権者の皆さんは、名前、性別、支払形式、金額、住所、電話番号をfakesheji@gmail.comまで送ってください。もしあればツイッターのアカウントか微博のナンバーも。
これはネットで画像を見せてくれないらしい。債権者だけの特典ですね。
■税務署は受け取りを拒否さて、14日に追徴課税の保証金を納めに、銀行で下ろした850万元(約1億200万円)をかついで北京地方税務署に足を運んだところ、受け取りを拒否されたとのこと。

*やたらとかさばる100元(約1200円)札の束。これは明らかに法律違反なのですが、「指定の口座に振り込まないと公安の出番になる」という税務署の脅迫に、脱税容疑をかけられた發課公司の代表にして、妻の路青、そして職員の安全を考慮して従ったようです。公司の弁護士である夏霖は地税当局の心変わりを「ネット民からの借金が問題とされたのではないか。どうも公権力の介入があったっぽい」と指摘しています。
私の中国語能力の低さと、知識の無さが手伝ってイマイチはっきりしないところもありますが、艾未未は当局に難癖を付けられることを避けています。追徴処分の取り消しなどを求めて提訴するのが目的で、脱税を認めたわけではないと再三に渡って表明していますから、ここでつまづくわけにはいかないのでしょう。
そろそろ環球時報がよく分からない社説を書いてきそうなのですが、どうでしょうか。
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