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2011年11月17日
Chengdu's big wall
■「壁越え」は大変
壁越え(ネット検閲システム回避)歴二年半の俺は、これまでVPNに頼り切ってきた。VPNは中国のネット規制を破る(俗に言う「壁越え」)の方法の一つ 。だがここ数週間、VPNの調子がすこぶる悪い。ほかのVPNサービスに乗り換えることもできるが、ずっと同じ方法を使っているといざという時に弱い。安定したVPNサービスを手に入れるには多少お金がかかるし、探すのもかなり手間がかかる。
なので昨晩、手持ちのVPN3つ全てが「接続不能」になった時、俺は新しい壁越え方法の導入を決断した。
(*中国ネット検閲システム:正式名称「金盾」。ファイアーウォール機能は、"Great Wall" (万里の長城)をもじって Great Firewall(グレート・ファイアウォール)と呼ばれている。wikipediaより)
■壁越え大作戦その(1)「hosts」
最初に目をつけたのは「hosts」だ。簡単に仕組みを説明すると、例えばTwitterのURL「www.twitter.com」はたんなる「名前」に過ぎない。アクセスする為には正確な「住所」、つまり「IPアドレス」が必要だ。ここでこれらの「名前」と「住所」を結びつけているのが「DNS」だ 。
中国では、中国のネット運営企業がDNSを提供しているが、当然ガッチリと規制がかかっている。当局にとって不都合なサイトの「住所」は教えてくれないわけだ。じゃあ、DNSなんか使わずに「住所」くらい自分で覚えるわ!ボケェ!っとこんなふうに半ギレしながら生まれた方法が「hostsの変更」だ。ネット運営企業が提供しているDNSを使わずに、自分のコンピュータの中に名前と住所を一致させるリスト、すなわち「hosts」を用意することで、DNSを経由しないでのネット閲覧が可能になるのだ。
とても便利で簡単な壁越え方法だと思うのだが、不便な部分も若干ある。まず第一に「IPアドレスを入手」しなければいけないこと。ネットではIPアドレスをまとめたテキストファイル形式の「Hosts」ファイルが公開されているので、これをコピペすればイイだけ。とはいえ、このIPアドレスも永久に有効ではない。一度失効してしまったら、また一から探すハメになってしまう。なおかつ、公開されているIPアドレスはGFWの格好の餌食となり、広まれば広まるほどアクセス不能になる確率が高まってしまうのだ……。
なので、hostsは定期的にアップデートする必要がある。もう一つ厄介なのは「使用範囲が限られていること」だ。今のところIPv6に対する有効な規制方法はないので、それを使えばかなり安全になる。だが、IPv6が使える場所はまだ限られている。「A地点では接続出来たがB地点では出来ない」という状況がたびたび発生する。
とはいえ、全体的に見ればかなり有効な方法だし、主力の壁越え方法として十分の戦闘力の持ち主だ。
■壁越え大作戦その(2)「Google Public DNS」
hostsの次には「Google Public DNS」が目に入った。つまり、「住所」教えてくれないならもうテメェには聞かないよ、Googleさんに聞くもん!ボケェ!っということです。だが、GFWはいつもGoogleさんをマークしています。というわけで、この方法は使えないようなので、すぐに放棄しました……。
■壁越え大作戦その(3)「goagent」
最後に試した方法は「goagent」だ。プロキシの一種だと思うが、一体何なのかは全然知らない。
セッティングの手順を説明すると:
・Google App Engineのアカウントを作る→
・App Engineに新しいアプリを登録する→
・goagentからアプリをダウンロードする→
・解凍し、二つのファイルの中へ先ほど登録したアプリのIDを書きこむ→
・修正したアプリを今度はアップロードする(Mac/Linuxの場合コマンドを打ち込む必要がある、いかにもITって感じ。提示されたマニュアルはWindows対応なので、コマンドに関する入門級知識を持っていないとかなり苦労すると思います)→
・Firefox/Chromeへアドオンをインストールする(これで自動的にプロキシを使うかどうか判断される)→
・Firefox/Chromeへデジタル証明書をインポートする(こうでもしないとサイトは見れないかレイアウトがめちゃくちゃになる)→
・Macユーザーだから「GoAgentMac」をインストールする(こうでもしないと毎回壁ごえにコマンドが必要となる)