中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年11月18日
2011年11月17日付南方都市報及び18日付続報が伝えた。
■緑壩娘から2年
*画像はアンチウイルスソフト・緑壩を擬人化した「緑壩娘」。
「緑壩-花季護航」(英語名は「グリーンダム-ユースエスコート)を覚えておられるだろうか?2009年に「中国国内で販売される、パソコンすべてへのインストールが義務づけ」られたフィルタリングソフトだ。子どもたちをエロ情報から守るためという触れ込みだったが、米大学機関が解析したところNGワードリストには法輪功関連の言葉や政府批判の単語も含まれていることが発覚し、話題となった。
大胆すぎる検閲政策に対して、中国ネット民から一斉に非難の声が上がったが、それだけではなく、「そんな謎のソフトをインストールして、パソコンに不具合が起きたらサポートとかは中国政府のほうでやってくれるんでしょうか?」「非関税障壁やめれ」「中国国産PCがますます売れなくなるっす><」という中国内外の産業界から上がった悲鳴やら批判の影響が大きく、強制初期インストール政策は撤回された。
(関連記事:「<検閲ソフト>さらば、緑壩娘!あの萌えキャラが河蟹と共に消えた!」2009年7月2日)
■「お子さんを一生涯、エロからお守りします!」
一方で忘れてならないのは、政府が無料でフィルタリングソフトを開発し配ってくれることを歓迎して保護者もいたということ。このIT時代に我が子が乗り遅れないようパソコンを買ってやらねばと思いつつも、ゲーム廃人やエロ収集家になってしまうのではと不安に思っている人も少なくないからだ。
そんな親心につけ込んだのか、今、学校と業者が結託し、フィルタリングソフトを売りつける商売が流行っているという。あるフィルタリングソフト開発会社が実施しているそのビジネスだが、まず学校と結託し「網脈工程実践基地」などの称号を学校に授与。で、保護者にフィルタリングソフトを売りつけ、子どものための情報教育講座を売りつけるという手口だ。
「元値3000元(約3万6000円)のソフトが今なら2660元(約3万1900円)で!」とディスカウントしてくれるのも特徴。最初に金を払ってしまえば、その後は年会費などもなく、一生お子さんが保護されますよ、という誘い文句もあるという。いや、一生エロ画像を見られなくされるのも困りものだが。
■政府の「エロ検閲プロジェクト」を悪用
このフィルタリングソフト・ビジネスだが、2007年にはすでに存在し、現在では中国各地の100校が参入しているという。なお、このビジネスで使われている「網脈」という言葉だが、もともとは中国政府が推進する「中国未成年網脈工程」というプロジェクトの名称。子どもの健全な成長を助け、エロから遠ざける云々という趣旨だが、それを利用しての商売というわけだ。
物価が高い日本でも5000円程度で買えてしまうフィルタリングソフトを、3万円という高額で売りつけるイカサマっぷりは批判も多いようで、「網脈工程」を主管する中国少年先鋒隊事業発展センターは、「網脈クラスなどの名目で高額の費用を取得することは御法度であり、禁止されております」とコメントしている。
こんな詐欺的商売が広まっているとなると、「エロ検閲ソフトを最初からインストールしておいてくれれば、こんな面倒はなかったのに」と嘆く保護者も少なくないかも知れない。子どもだけではなく、親御さんにも相応のITリテラシーが求められる時代ということなのだろう。
どんなメリットがあるのか誰も
説明出来なかったな。