中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年11月21日
Soccer Kids / chipgriffin
■10年間のどん底を生き抜くための嘆き芸
日本では横浜DeNAベイスターズ・ファンの十八番となっている「自チームの弱さを喜々として語る嘆き芸」。中国ではサッカーファン、メディアが一丸となって、この嘆き芸を楽しんでいる。
なにせ2001年、10年前の日韓W杯アジア予選突破が最後の美しい記憶。その後は最終予選にも進めない体たらくで、しかも自国開催の北京五輪での惨敗も含め、若手世代もぼろぼろ。「期待できることは何一つない」「どん底だと思ったら、それは上げ底。まだ下があった」という惨状を楽しみ続けている。
というわけで、中国サッカーファンの嘆き芸はレベルが高い。タクシー運転手さんとこの手の話をすると、まあ終わらない終わらない。体制、選手、育成システムなど、微に入り細を穿つ嘆きを展開してくれる。このハイレベルな嘆き芸は結構楽しいので、中国語ができる人はぜひ知り合いの中国人にこのネタを振ってみて欲しい。
■RFI記者の嘆き芸
フランスメディア・RFIの中国語版で北京特約記者としてお仕事されている周西さんも、この「サッカー嘆き芸」に参入されたようだ。
ブラジルW杯決勝へと中国サッカーが突き進む夢が粉々に粉砕された後、あるネット民はマイクロブログに次の書き込みを残した。「(中台)統一が難しいのか?それとも代表(の予選突破)のほうが難題なのか?」、と。W杯予選突破と中台統一の難易度を比較したこのつぶやき、「いいとこついている」と絶賛されている。
あるアナリストは言う。中国の国力は今や日増しに高まっている、と。国産空母を建造することもできる、宇宙船は打ち上げた、世界最速の高速鉄道も作った。北京五輪では降雨防止技術まで披露したではないか、と。シンガポール華字紙・聯合早報の記者は「中国政府がやろうとしてできないことはないかのようだ」と慨嘆した。
しかし、だ。ネット民のつぶやきは正しい。中台統一とサッカー、これこそが中国政府が解決できない問題の典型例というべきではないか。なぜならば、両者はともに金や強権ではどうにもできないからだ。
(中国の宇宙船)神舟8号は宇宙へと飛び立った。でも中国サッカーは先に進めなかった。今、神舟8号は地球への帰還に成功した。中国代表も家に帰ろう。