中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年11月21日
■成長著しいASEANの銀行業
発展を続けるアセアンにおいては、欧州と異なり、銀行業が成長しつつ比較的健全な状況を保っていることが、経済基盤の大きな強みとなっている。、2015年の経済統合に向けて銀行間の競争も激しくなっているが、総資産規模で上位10行をみると、シンガポールの銀行が3行、マレーシアが3行、そしてタイが4行といった順に並んでいる。
■HSBC(香港上海バンク)とASEAN上位銀行
中国、日本、豪州の銀行はもちろん入れてはいないが、香港に本店を持つHSBC(香港上海バンク)は、古くから東南アジアで活動しているので、アセアンのトップに置いていいかもしれない(総資産6500億ドル(約50兆円))。ちなみに、英国に本社のあるHSBCホールディングスは、1991年に英ミッドランド銀行買収などで作られた香港上海バンクを核とする持株会社である。
HSBC, Makati City, Philippines / Jun Acullador
シンガポールの3行は、総資産順にDBS(シンガポール開発銀行、総資産2320億ドル(約17兆8000億円))、OCBC(華僑銀行)、UOB(大華銀行、タイでも12位ほどの規模で頑張っている)。続くマレーシアの3行は、総資産順にメイ・バンク(マレーシア銀行)、CIMB(前身はブミプトラ商業銀行、900億ドル(約6兆9200億円))、パブリック・バンクである。
タイは、総資産順に、バンコク銀行660億ドル(約5兆700億円)、ドルクルンタイ(KTB)銀行、カシコーン銀行、サヤム商業銀行(SCB)と並ぶ。タイの主要銀行については、以下参照されたい。
チェンマイUpdate : タイの銀行の預金保護が縮小する(チェンマイUpdate、2011年1月3日)
■ASEAN第5位、マレーシア・CIMB BANKが狙うタイ市場
さて、このうちアセアン第5位につけるマレーシアのCIMBであるが、アセアン市場での拡大を狙い着々と手を打ってきている。以下はクアラルンプールで行なわれた、CIMB・ラザックCEOへのインタビューを元にした、バンコク・ポストの記事。
先月2011年10月末には、クアラルンプールのマインズ・リゾートで、PGA公認の「CIMBアジアパシフィック・クラシック」ゴルフ選手権が開催された。
CIMBはマレーシアだけでなく、タイ、シンガポール、インドネシアにも支店網を持つ。国外も含め、支店数は1100以上である。900億ドル(約6兆9100億円)の総資産規模は、現在アセアンで5番目の規模の銀行だ。
成長するアセアン経済だが、古くからの欧州の銀行は信用問題の深刻化から撤退を増やしており、CIMBにとっては拡張の好機である。CIMBはそういったところからローンを買い取っている。
マレーシア国外での拡大を目指し、各国の投資家からの出資を歓迎している。シンガポールでは国営投資会社テマセックからの出資を求めている。
タイでは2009年5月に、バンク・タイの42.1 %の株式を取得した。現在では93.15%を握り、「CIMBタイ銀行」という名で、タイにおいて銀行業を拡大している。現在タイで10位程度の規模を誇る。
また最近、タイ6位のアユタヤ銀行の筆頭株主GEキャピタルから、持株32.93%を譲り受ける覚書にも調印したといわれる。
証券業では最近、バンコクのシッコ証券を7.68億バーツ(約19億円)で支配下に納めた。ラザック氏は、CIMBは各国で証券業でもトップ3に入っているが、タイでは25位なのでここでもそれなりのポジションを持ちたいという。