中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年11月21日
老虎机 / jingshi
■スロットに興じる若者
広州市花都区鏡湖大道のデパート一角にあるスポーツ宝くじ販売店。話によると、3年以上も前から違法なスロット、闇くじも扱っているという。19日夜、南方都市報が潜入取材した。
15平方メートルほどの小さな店内には、2台のスロットマシーンが堂々と遊んでいる。取材時には数人の若者が取り囲んでいて自分の番を待っていた。遊んでいる人間のコインが次々とスロットに飲み込まれていく。「200枚以上突っ込んだけどあたりやしない。」若者はそう毒づくと席を立った。すぐに順番を待っていた若者が席に着き、遊び始める。コインをすってしまった若者は番台にいくと20元札をさしだし、コイン20枚と両替していた。
スロットは大変な人気で、順番待ちが耐えない。しばらくすると、もう1台、スロットが運び込まれ、マシーンは計3台となった。
■闇六合彩
そのうち、若者の一人が番台に行き、「番号、買えるだろ」と話しかけた。番台の男は無言でどこかに電話すると、しばらくして中年の女性がやってきた。「番号は?」と聞く中年女性。若者は10元札を差し出して、「犬」とだけ答えた。
この店は中国政府公認のスポーツ宝くじ販売店でありながら、同時に違法スロット、闇宝くじである六合彩をも扱っている。六合彩とは香港のロトくじで、49の数字から6つの番号を選ぶというものだ。中国本土では香港六合彩開票所の数字だけを採用した闇六合彩が流行している。
賭けの手法も、数字を6つ選ぶような面倒な形式ではない。上述の若者が賭けたのは、十二支から一つを選ぶ手法。干支にはそれぞれ4~5種の数字が割り当てられており、そのどれかが開票された一つ目の数字と同じだった場合にあたりとなる。
赤、青、緑の3種類に分けるケース、木火土金水の5種類に分けるケースなど、胴元にさまざまな賭け方があるという。
■正規店でまで売られる闇くじ
雇用創出、観光客誘致を題目にギャンブル導入を求める声もあるが、中国政府は慎重な姿勢を崩していない。公式に認可されているのはスポーツくじ、宝くじだけだ。しかし、無認可のギャンブルは中国各地で盛んに行われている。闇六合彩はその代表とも言える存在だ。胴元の儲けを差し引いたとしても、政府公認のくじよりも還元率が高いのが魅力となっている。
違法なギャンブル、くじが相当の広がりを見せていることは誰もが知っている事実だが、よもや正規の宝くじ販売店まで手を染めているとは、というのがこの記事の面白いポイントだ。正規のくじと違法な闇六合彩、どちらのほうがよく売れていたのか、気になるところだ。