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中国人オタクの『このライトノベルがすごい!2012』への反応(百元)

2011年11月24日

■中国オタクの「このライトノベルがすごい2012」への反応■

*当記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の許可を得て転載したものです。


今年も「このラノ」が出る季節になりましたが、なんだかんだで定例イベントになってきたような気もしていきますね。ライトノベル原作のアニメがかなり大きくなっている今日この頃、中国オタク的にも「このラノ」に上位ランクインする作品に関してはかなり注目しているようです。

20111123_このラノベがすごい!_中国

『このライトノベルがすごい!』

『このライトノベルがすごい!』は、例年12月初旬に発行されるライトノベルのガイドブックである。毎年、発行に先立って「好きな作品(シリー ズ)」、「好きな女性キャラクター」、「好きな男性キャラクター」、「好きなイラストレーター」を答えるアンケートが実施され、その結果がランキングとし て掲載される。


アンケートによる得点による順位の発表以外にも、作品ジャンル別の詳細な紹介、ランキング1位を獲得した作品の著者へのインタビュー、その1年に起 きたライトノベル関連の出来事の概観、これからのライトノベル業界の展望、作品の中での人気の高い台詞など、広範にわたる。ただし、2011年版からは、 インタビュー企画やイラストの使用などで角川系列のレーベルの協力を得られていない。wikipediaより。


今回の「2012」は集計のやり方が変わったのも影響したのか、かなり「とんがった」結果になっているように思えます。具体的な上位ランキングに関しては、以下のサイト様の記事などをご参照ください。

『このライトノベルがすごい 2012』作品部門1位は「ソードアート・オンライン」 キャラ部門女キャラ1位は3年連続で美琴! 男キャラ1位はキリト(やらおん!、2011年11月17日)

「このライトノベルがすごい! 2012」作品部門TOP10発表!(萌えオタニュース速報、2011年11月16日)

この結果について既に中国オタクの間でも話題になっているようですし、今回はその辺についてのやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。

「このラノ2012」が出たぞ!今回の1位は「ソードアート・オンライン」だ!

ソードアート・オンライン〈1〉アインクラッド (電撃文庫)

おお、禁書がついに負けたか。この1件だけでもちょっと嬉しくなる。てか今回は上位にも自分の全く知らない作品が入っているのがちょっと意外だった。アニメ化した作品や、人気作品はそれなりに押さえているつもりだったが。


私は禁書も嫌いじゃないけど、あまり同じ作品が独占ってのも面白くないからね。入れ替わりは嬉しいところ。あと、なんか「ベン・トー」は勢いあるね。ここ数年、徐々に強くなってついにここまで来たという感じだ。


「ベン・トー」3位は正直意外だな。アニメ化はされたし、面白いとは思うけど高い人気を得ることのできる作品とは思えなかった。
(関連記事:「中人国オタク「ベン・トーには日本の創作能力の恐ろしさを感じた」(百元)」2011年11月22日)


うーむ、中国語版が無い作品というか、出るのを期待していいのか分からない作品が結構あるなぁ。


ヒロイン部門だと肉が3位で黒猫が4位か……。上ではあるんだが、1位2位にいける可能性があると思っていたから複雑な気分だ。


日本語のままだと見慣れない名前の作品が自分の知らない作品なのか、中国語版タイトルが日本語直訳じゃないものになっている作品なのかが分からん。誰か中国語タイトルでの一覧表を作ってくれ……お願いします……。


キャラクター部門の上位は既に中国語版があったりファンサブ翻訳版があったりする作品がほとんどだね。


「ソードアート・オンライン」はそこそこの人気はあるだろうと思ってはいたが、ここまで強い作品だったのか……!


私は「ソードアート・オンライン」の1位は全く予想していなかった。名前はそこそこ有名だったけど、1位になるほど人気の高い作品だとは思ってなかったよ。


俺は「ソードアート・オンライン」好きだから1位はかなり嬉しい。近いうちに出るだろう8巻の台湾版が待ち遠しいよ。


やはりウチの国と日本じゃあ読まれているものが違うんだな。もしウチの国でランキング作ったらこれとはかなり違うものになりそう。


今回は前回に比べて知らない作品が多いな。2011の時はベスト10の半分以上は読んでいたし、他のも読んでいなくても名前とだいたいの方向性は知っている作品だった。


10位以内だと「円環少女」「丘ルトロジック」「アイドライジング!」「雨の日のアイリス」がこっちでは知名度低いな……てか「円環少女」はまだ中国語版があるけど、その他についてはほとんど読んでるヤツがいないんじゃないかな。



「円環少女」は俺1巻で挫折したわ……なんかごちゃごちゃし過ぎ。原文の方も難しいし、ありゃ翻訳が難しそうだ。

円環少女 (角川スニーカー文庫)

翻訳の難しさで言えば「境界線上のホライゾン」もだけど、「円環少女」はまた違った難しさがあるよな……ところで「境界線上のホライゾン」26位は高いのか低いのか、どっちなんだ?あの作品のラノベ界における立ち位置というか評価がイマイチ分からん。


「ソードアート・オンライン」がここまで上になっているし、もしかしたら同じくネット小説出身で今回29位の「魔法科高校の劣等生」も今後上昇してくるのかな?売り上げ的にはかなり好調らしいし。


キャラ部門の方だと「炮姐」(御坂美琴)が1位か。キャラ部門の方はほとんど分かるキャラだね。


俺妹は11位か……それと、竹宮先生の「ゴールデンタイム」がちゃんとランクインしているのは嬉しい。


13位の「神明解ろーどぐらす」は面白いという評判を聞いたことがあるし、ちょっと読んでみようかな。

神明解ろーどぐらす (MF文庫J)

「文学少女」は46位……寂しさを感じるが、これは残ったのが幸いと考えるべきなんだろうなぁ。以前の人気作品でランク外になっているの多いし。


ふっふっふ……「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている」が15位にランクインしているのは嬉しい結果だ。


アニメ化もあった「ダンタリアンの書架」がランクインもしていないとは……あと個人的には「子ひつじは迷わない」はもうちょっと上になると思っていた。それとハルヒがまだランクインしているのも意外。

ダンタリアンの書架1 (角川スニーカー文庫)

ところで、ちょっと疑問なんだが「Fate/Zero」はラノベに入らないの?文庫で商業出版されたから、私はてっきり今回どこかにランクインしてくると思っていたんだが全く名前が出ていない。あの作品は日本の定義だとラノベではないんだろうか?
(関連記事:「アニメ『Fate/Zero』、公式中国語字幕という新たな試み=中国オタの反応は?(百元)」2011年10月13日)


「ソードアート・オンライン」はアニメ化決定だし、来年の期待作になるのかな。ただ、同じ作者なら「アクセル・ワールド」の方をアニメ化して欲しかったりも。

とまぁ、こんな感じで。中国オタク的に馴染みのない名前が並んでいたり、そこまで人気が高いとは思われていなかった「ソードアート・オンライン」が1位だったりと、今回の結果はかなり意外だったようですね。


■日本と異なる中華圏のラノベ趣向


最近では台湾、香港、中国本土などで日本のライトノベルの中国語版が出版されるのも珍しくなくなっていますが、日本の作品が全て翻訳されるわけではありませんし、日本での発売とのタイムラグも生じます。また勝手に行われるファンサブ翻訳にしても人気作に偏る傾向がありますし、ラノベの比較的新しい作品やマイナー作品に関しては、まだ日本の感覚との違いが結構あるようです。

もっとも、今回の結果は日本の感覚でもわりとマイナー寄りな作品ばかりになっているように思えますし、知らない作品が少なくないというのもしょうがない気もします。


■ディープ作が並ぶ12年度は個人的に好感触


ただ、正直なところ私は「このラノ」に関しては「自分の守備範囲外の面白い作品が見つかる」というのを期待しているので、今回のような結果の方がありがたいですね。「2011」の時は上位ランクイン作品がほとんど「既読」或いは「読んでみて自分の趣味に合わないのでリタイヤした」ものだったため、あんまり役に立たなかったので……。


個人的注目作!「犬とハサミは使いよう」

さて以下は私の個人的な感想なのですが、「このラノ2012」にランクインしている今年の新作では「脱兎リベンジ」「六花の勇者」などが個人的には面白かったのですが、なかでも特に印象深かったのは「犬とハサミは使いよう」
です。

犬とハサミは使いよう (ファミ通文庫)

この作品、ハッキリ言って人によってはストーリーがグダグダだったりネタが寒かったり、会話のノリが微妙だったりするところもあるかと思います。しかし、「読書狂」「続きを読むまでは死ねないと生にしがみついて犬に転生」という本読みにとってかなり感情移入してしまう設定、しかもそれに加えてお色気誘惑シーンでヒロインに「俺ってエロ小説でしか抜けないし……。文字列になって出直してこいよ」とのたまうキャラを生み出したのはスゲェなぁと。


■「戦塵外史」の完結

それから、「このラノ2012」では全く話題になっていなかったのですが,、今年のラノベ関係で個人的に大きかったのが「戦塵外史」の完結ですね。

戦塵外史 六 双帝興亡記 (GA文庫)

「戦塵外史」は現在の様々なアイデアによる設定が飛び交っているライトノベル界ではかなり地味に見えるかもしれませんが、正統派で面白い作品だと思います。

最終巻ではそれまでの巻でも所々で出ていた「女帝アイーシア」の話がトリになっており、非常に王道な展開ですがきちんと面白くなっています。「戦塵外史」は全6巻ですが、どれも独立した話なので個別に読んでも問題ありません。このブログのコメントの年齢層的にいける方もいるんじゃないかなーと。

とりあえず、こんな所で。最近、ラノベの刊行ペースに自分がついていけなくなっているのを実感しているので、もし何か面白いラノベ作品をご存知でしたら是非教えてくださいませ。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

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*当記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の許可を得て転載したものです。



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