• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

地方政府が赤字上場企業を救済、その理由とは?「借殻上場」全盛の中国

2011年11月23日

2011年11月22日、財経網は、地方政府が「借殻上場」の玉を残すため、赤字上場企業に多額の補助金を拠出していると報じた。


Stock Exchange 3, Shenzhen, China.JPG
Stock Exchange 3, Shenzhen, China.JPG / gruntzooki



■上場企業を守れ!地方政府の補助金

面倒な上場審査を回避するために、中国でよく使われているのが「借殻上場」、すなわちRTO(Reverse Take Over、逆買収上場)、裏口上場という手法だ。非上場企業が、上場企業を買収することで上場を果たすという抜け穴的手段となる。

「借殻上場」で買収されるネタとなる「赤字続きで経営がヤバい上場企業」。これを救うため、地方政府が補助金を拠出している。中国株式市場では2年連続赤字決算で「ST株」と認定され、3年連続の赤字で上場取り消しというルールがある。そこで3年目は政府の補助金で黒字にしてやり、上場をキープするのが狙いだ。

2010年には60社以上のST株に、計20億元(約240億円)超の補助金が注入されている。最多の補助金を受け取ったのは南寧化工集団有限公司。3億元(約36億円)もの補助金を獲得している。補助金拠出の名目はさまざまで、例えば甘粛蘭光科技株式有限公司への補助金は、「同社が歴史的問題を適切に解決するのを手助けするため」というわかったような、わからないような理由がついていた。


■なぜ上場企業はそんなに重要なのか?

建て前はなんであれ、本当の狙いは「上場企業」という枠を守るためでしかない。補助金で上場廃止の危機を回避しておいて、稼いだ時間で買ってくれる相手を探そうという算段だ。

財経網の解説によると、地方政府が補助金を突っ込んでまで上場企業を守ろうとするのには2つの理由がある。第一に地方政府、とりわけ県政府などの地元にとっては、上場企業は経済的にきわめて重要な存在であること。第二に上場企業があれば、その地域の知名度もあがり、他産業の成長を促進したり、投資誘致に影響したりするなどのメリットがあるという。

「借殻上場」自体は違法行為ではないが、政府による救済策は、不健全な企業を生き残らせ、投機筋の的となりやすい不安定銘柄を市場に残すなどのデメリットがあるという。あるST株企業の経営者は、上場も上場廃止も容易にできる制度に組み替えることで、「借殻上場」のうま味をなくすべきではないかと提言している。


トップページへ

コメント欄を開く

ページのトップへ