中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年11月27日
■角川さん、大丈夫?
「角川書店が中国本土進出!」と話題になった漫画雑誌『天漫』。一応追いかけているが、盛り上がりに欠けるばかりか、中国人読者の反応すら見えないので、そろそろしんどくなってきた。『ガンダムユニコーン』と双璧をなす看板漫画『涼宮ハルヒの憂鬱』なんかこんなのだし。
この古泉なんて三浦健太郎が左足で書いたセルピコみたいだ。
悲しそうな顔してるけど、『消失』以外で長門にこういう表情作らせたらマズくないか?
■イラストを20枚描けばいいんでしょ?
『仙剣奇侠伝』はイラストを20枚描けばいいんでしょ?って問いかけが聞こえてきそうなほど漫画に動きがない。
絵は決して下手じゃないので、いっそのこと戦闘シーンを一切描かなければ良いんじゃないか。話題性と豪華さ以外で特に取り柄がない『天漫』で、期待している漫画は2つしかない。
■お気に入りの2作
第一のお気に入りは『家“宅”平安』。オタク一家に生まれながらも、学校では普通の少女を装っているヒロインと、オタクに嫌悪感を持っているふりをしている隠れオタクの転校生の少年との交流を描いている。
第2話は学校の外が舞台に。ヒロインがクラスメイトだと気付かずに、オタクむき出しのコスプレ姿のまま熱いオタトークを展開する転校生の少年。学校の様子とはあまりに違う彼を気づかって正体を隠し通す主人公。2人のの仲良さげな会話風景が展開される。
『初・末』は絵柄が婦人誌寄りだ。人の顔にその人物の肩書きしか見えないようになってしまった男と、彼が地下鉄で初めて見つけた『まともな顔』をした少女。もう3話目だというのに男は相変わらず少女の姿を追いかけているだけで、少女の正体は何一つわかっていない。
展開の遅さが気にはなるものの、少女の正体や男と少女が出会ったあとのことを考えると、このぐらいの焦らし方が妥当に思える。しかし、この『家“宅”平安』と『初・末』は次号休載なのだ。まさか来年まで少女の正体がわからないままになるとは思わなかった。
『天漫』の主力漫画はあくまでガンダムとハルヒとエヴァなのだろう。その上で、毎号新連載を出しては独自のヒット作の可能性を探り続けている。その手法自体に責めるところはないが、漫画誌なのだから絵の出来にもう少し気を配って欲しい。良い原作も作画の腕が悪ければ打ち切られて終わりだろう。
■世界は繋がってるんよ
さて、以前もとりあげた『中国城市擬人化』について。今回の主人公は成都だ。オタクの広州と仲が良く、彼女自身も腐女子である。
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確か成都もコミケ会場としては有名な都市だ。腐女子寄りのイベントが多いのかどうかは知らないけど。彼女らが行くコミケ会場で前回の『午夜小説絵』レビューで触れた冒険小説『盗墓筆記』の同人誌が出てくる。
(関連記事:「超豪華!ビジュアル重視のホラー小説専門誌『午夜小説絵』が誕生―中国(阿井)」2011年11月26日)
漫画の小道具で使われるぐらいなんだから、けっこうメジャーなジャンルなんだろう。腐女子たちの世界の広さを感じずにはいられない。
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*当記事はブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の許可を得て転載したものです。