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2011年11月26日
今回は『華声在線』の記事「百余名小学生停课欢迎领导引热议」(100人超の小学生、授業を中止して指導者を熱烈歓迎)を取り上げます。
■熱烈歓迎
タイトルだけでどんな話かわかってしまうのですが、まずは写真を。
この面白すぎるネタですが、まずはネットで広まり、メディアが後追い報道したといういつものパターンです。この「儀式」は2011年11月23日、福建省寧徳市古田県であったもの。省のお偉いさんが来るというので、小学校は授業を中止し、手にプラスチックの造花を持たせた児童200人を儀仗兵のように並ばせて出迎えたのだとか。
授業は2時から中止され、3時半にお偉いさんが着いた後に再開されたそうですが、「1時間半も子どもたちを立たせていたのか」「官僚主義だ」「こんなことを学ばせるために学校に行くのか」などなど、ネットでは非難囂々です。
■教育局の反論
この騒ぎについて、古田県教育局の匿名男性職員が反論しています。
この「儀式」は何時間も続いたものではなく、2時から2時20分までの20分間だけ。なので授業にもほとんど影響はなかったと反論しています。また省幹部のお出迎えではなく、同地で開催された仏教フォーラム関係者を歓迎するためだったと説明しています。
記者の調べによると、仏教フォーラムは福建省炎黄文化研究会、寧徳市政治協商会議が主催、古田県政治協商会議、寧徳市仏教協会が協力して開催されたもの。確かに現役省幹部は関係しませんが、元福建省副書記にして現福建省炎黄文化研究会の何少川会長、また寧徳市幹部が参加しています。
■日中友好人士を迎えた「熱烈歓迎」
中国のやりすぎセレモニーについては、「コネの数と質こそが力!開店セレモニーで「関係」を誇示せよ」でもとりあげましたが、やはり「過ぎたるは及ばざるがごとし」ということでしょうか。
この「熱烈歓迎」記事で思い出したのは、かつて中国を訪問した日中友好人士のことです。大変な歓迎を受けて方々は、「中国は良い国だ。日本は戦争であれだけひどいことをしたのに私たちを心から歓迎してくれた」との感想を何度か聞いたことがあります。
さて、今回の一件ですが、小学校の子どもたちは、省幹部にせよ仏教フォーラム関係者にせよ、誰が来るかわかっていたのでしょうか。たんに教師の指示で「熱烈歓迎」しただけではないでしょうか。
かつて日中友好人士を感動させた「熱烈歓迎」が同じだったと断定ではできませんが、これほどの多くの子どもたちに歓迎されたら、悪い気はしないでしょうね。
*画像は華声在線の報道。
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*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。