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2010年韓国キムチ危機が生み出した2011年中国白菜価格暴落

2011年11月29日

2010年の韓国のせいで、2011年の中国の白菜価格が暴落している。


タイトルなし
タイトルなし / yijuichen


■「売難買貴」(売るのは難しいのに、買うのは高い)

2011年11月23日、大河網は、白菜、大根、ジャガイモ、中国の冬の食卓を飾る主力3野菜の値段が暴落していると報じた。特に白菜、ジャガイモの出荷価格は半額近くにまで下がっているという。農家の皆さんは大変困っているわけだが、一方で一般市民は大喜び……というわけではない。

末端小売価格はそれほど下がっていないため、「売難買貴」(売るのは難しいのに、買うのは高い)という生産者、消費者ともに嬉しくない状況が生まれている。まあ、出荷価格が下がっても、中国の複雑な流通体系を通り抜けていくうちに価格はだいたいいつもどおりになってしまうという状況だ。また、低温流通体系(コールドチェーン)が整備されていないこともあって、なかなか遠い産地に売れないということも問題だろう。


■2010年韓国キムチ危機

価格暴落の直接的要因は「豊作」なのだが、問題はそれだけではない。白菜の場合、「韓国のせい」で今年の作付け面積が大きく拡大し、作りすぎてしまったという要因がある。

「韓国のせい」とは、つまり昨年のキムチ危機のことだ。昨年、韓国では異常気象が原因で白菜収穫量が40%も減少するという大変な事態に。白菜価格は例年の3倍に高騰した。日本で白菜危機が起きるのとはわけが違う。なにせ「キムチの国」韓国なのだ。というわけで、韓国政府は中国産白菜の関税を急きょ引き下げるなどの緊急避難的対策をとり、中国から白菜を輸入することで問題の解決を図った。その影響もあり、昨年は中国の白菜価格も上昇している。
(関連記事:韓国「キムチ危機」に思う=中国の食料安全保障

「白菜儲かるわー、こりゃいけるでー」と勘違いした農民が白菜の作付け面積を増やしてしまい、しかも今年は豊作ということで、激しい値崩れを招いてしまったというわけだ。記事「【ジェットコースター物価】ニンニク・バブルから1年……今度は価格が急落」でも触れたが、農民の“集団的”読み間違いが食品価格の暴騰、暴落の要因となっている。


■情報不足が生んだ食品価格ジェットコースター

中国農民と対照的な存在として、私がイメージしているのは『“トウモロコシ”から読む世界経済』で描かれていた米国のトウモロコシ農家。農家というよりも投資家じゃないの、と驚くほどに情報収集に長け、利益を最大化するための方策を講じている。もちろん失敗する人もいるわけだが、中国のような“集団的”読み間違いは起きづらい。

問題は中国の農民がバカなこと、ではない。将来を判断するための情報を提供するシステムが欠けていることこそが問題なのだ。以前から、専門家は先物市場や農民に情報を伝える組織を整備する必要があると指摘しているが、状況は変わらず。「食品価格ジェットコースター」が解消される気配はない。



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