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ソフトバンク・アリババ連合の米ヤフー買収が一歩前進=問題は金よりも「政治」

2011年12月02日

米ブルームバーグは、ソフトバンク・アリババ連合による米ヤフー買収準備が進展していると報じた。


YAHOO in 2001.
YAHOO in 2001. / gaku.

■交渉の進展

アリババ主導グループ、米ヤフー完全買収の提案準備-関係者
ブルームバーグ、2011年12月1日

中国の電子商取引運営会社アリババ・グループ・ホールディングとソフトバンクは、米ヤフーの全面買収提案に向けて、米投資会社ブラックストーン・グループとベイン・キャピタルとの交渉が進展した状態にある。事情に詳しい関係者3人が明らかにした。

同関係者のうち2人は協議が非公開であることを理由に匿名で、アリババ主導グループの提示額は税金面を考慮した上でヤフー株を1株当たり20ドル余りと評価する可能性があると述べた。(…)

(…)関係者らによると、アリババ主導のグループは最終的な買収提示額や、実際に計画を推し進めるかについて、依然として決定していない。関係者1人によれば、同グループは敵対的買収よりも、要請される形での買収案提示を望んでいる。ヤフーには提示の可能性を通知していないという。

本サイトで紹介した、以前のスクープ記事と比べると、「投資銀行との交渉が進展した」「具体的な買収額が出てきた」というあたりがポイントだろうか。

ちなみにアリババグループは、「アリババグループはヤフー買収に参加するか決定していない」と微妙なニュアンスの否定をコメントを出している(賽迪網)。ソフトバンクは完全にノーコメントの模様。


■本当は「ヤフーなんか要らない」アリババ

まだまだ先は長そうなので盛り上がるには早いような気もするが、中国メディアは敏感に反応している。まあ、最終的には200億ドル(約1兆5600億円)以上の金が動くことになりそうな大型買収案件であり、かつ一時はネット企業の代名詞でもあったヤフーを中国企業が買収するという象徴的な意味合いも大きい。

とはいえ、この大型買収劇にはまだまだ不透明要素が大きい。アリババにとってヤフー買収は本当に必要なのか、という点が最大の疑問符だからだ。ヤフーはアリババの大株主であり、将来的な外資規制強化を踏まえて自社株を買い戻したいというのがアリババの動機。「売ってくれないならヤフーごと買ってしまえ!」という発想であり、ヤフーの事業自体を狙っているわけではないからだ。


■「買収はやめておけ」と識者

2日付第一財経日報は、中国IT業界識者2人のコメントを報じているが、これがなかなか面白い。元グーグル中国代表の李開復・創新工房CEOは次のようにコメント。

アリババのジャック・マーは最終的に買収に参加するだろうが、それは自社株が目的で、ヤフーの中核事業を買収、運営するつもりはないだろう。

米国企業が中国に進出するのは難しいが、逆もまたしかりだ。ヤフーは今、業績悪化に直面しており、ポジションが不明瞭、製品が古いといった問題を抱えている。もしアリババが買収すれば、従業員の流出も激化する。CEO探しもより困難になるだろう。ジャック・マーは聡明な人間だ。今の段階で自分がヤフーをコントロールできないことを知っているだろう。

最終的にはアリババは自社株を買い戻し、資金を提供したプライベートファンドがアリババ株を保有。ただし経営権はジャック・マーに残されるという筋書きになるのではと予想している。

もう1人、ファーウェイの朱波・ネット業務総裁も「第一に戦略的に強調できない。第二に米国政府が妨害する。第三に国際間合併のリスクは大きすぎる。最も望ましい結果はアリババの株式を買い戻すことだ」と否定的な見解を示した。ネット設備大手のファーウェイは、「中国サイバー攻撃の一翼を担っているのでは」と米国でやり玉にあげられたこともあり、朱波総裁は中国企業に対する反発をよく知っているのではないだろうか。

ちなみに記事では、膨大なアクセスを集める米サイトが、海外企業に売却される場合、当局の厳しい検査にさらされるだろうとのアナリストのコメントも報じている。なるほど、ヤフーが保有しているプライバシーに関連するデータは相当なもの。加えて、国家安全保障の観点でも反発が強そうだ。アリババ・ソフトバンク連合がいくらお金を積んでも、政治的な問題から買収は不可能となる可能性も十分ありそうだ。

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