今、怪物が中国サッカー界をうろついている。岡田武史という怪物が。
■岡田フィーバーとこりないスポーツメディア
杭州緑城の幹部、浦和との「岡ちゃん争奪戦」に自信―中国
岡田武史前サッカー日本代表監督の招へいを目指している中国の杭州緑城の幹部が、Jリーグ・浦和レッズとの争奪戦について「こちらは時間をかけてコンタクトを取ってきた」と自信をのぞかせた。中国国際放送局が2日伝えた。
記事は、岡田氏が「遅くとも来週月曜日に杭州を訪れる予定」で、「宋板平オーナーが自ら話し合いに臨む」とし、杭州は80万ドル(約6200万円)の報酬を用意したとの情報を伝えた。
杭州が熱烈なラブコールを送る中、浦和が「争奪戦」に名乗りを挙げ、1200万元(約1億4500万円)の年俸を提示したことも紹介。
プロスポーツはオフシーズンのストーブリーグも本編顔負けの面白さなわけですが、今、中国サッカー界を騒がしているのは、元日本代表監督・岡田武史氏。サーチナが熱心に報道しているのを見て、ちょっと気になったのでグーグルニュース中国語版で検索してみると……。
でるわでるわの記事の山。関連記事1431件って……。他に話題はないのでしょうか。ストーブリーグの話題はどれだけウソを飛ばしてもいいというのが、日中を問わずスポーツメディアの共通認識のようなので、岡田武史報道もすごいことになっています。
「緑城、岡田監督に決定!」「岡田監督、浦和との交渉を断る」という記事が流れてくる間に、「予想外!岡田監督、浦和と交渉へ」という記事がはさまっていたり。「岡田よ、中国にいって経歴を傷つけていいのか:日本サッカーファン」「緑城クラブ内部で、岡田との契約は民族感情に反するのではないかとの議論」とか、とりあえず思いつくネタは全部突っ込んでおくか的な盛り上がりっぷり。
とりあえず、中国サッカーファンの頭には「岡田=名将」という図式が刷り込まれたと思いますので、今回監督に就任しなくても、将来的にはいろんなお仕事ができるんじゃないでしょうか。できれば、微博(中国のマイクロブログ)でも解説して、「中国サッカーに苦言、提言」みたいなつぶやきを流していれば、結構人気でるような気がしますが、どうでしょう?
■親会社の緑城集団は経営危機
日本人初の中国スーパーリーグ監督というチャレンジは非常に面白そうなので、岡田監督にはぜひ行ってもらいたいのですが、さすがにないんじゃないかなというのが予想。
というのも声をかけている杭州緑城の親会社・緑城集団は大手不動産会社なのですが、今年の「不動産規制と価格下落」が直撃。資金繰りがやばげな不動産企業の筆頭格で、そろそろ潰れるかも報道が出ては会社が必死に否定というコントを繰り返しています。
11月29日には緑城クラブトップが「いい買い手がいれば親会社を変えるかも……」とぽろっと告白(
財経網)。同じ杭州のよしみで、中国ネットショッピング最大手アリババが買ってくれるなんてことがあれば、最強チームになるかもしれませんが、さすがに望み薄でしょう。
補強費用が捻出できるかも不透明ですし、今年優勝した広州恒大が象徴的ですが、金満=最強の格差社会化が進む中国スーパーリーグだけに、岡田監督がどれだけの手腕を持っていても厳しそうです。
ちなみに来期の中国スーパーリーグですが、16クラブ中13クラブで外国人監督が予想されています(
体壇週報、岡田監督含む)。今さらながらの外国人監督時代到来で、中国サッカーがどう変わるのか、ちょっとした期待感があります。
2011年12月2日15時40分追記:浦和レッズ監督が西野朗氏と本格交渉、岡田武史元日本代表監督とは破談になったとのこと。ということで、岡田氏の中国スーパーリーグ行き、ひょっとするとひょっとするかも……。
G大阪・西野氏に浦和が監督本格交渉へ…岡田氏とは決裂(スポーツ報知大阪版、2011年12月2日)