中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年12月03日
Wine tasting / UmbriaLovers
■経済成長にともない普及するワイン
ワインという飲み物は面白いもので、経済成長が進むに連れて安くなり、普及する。
当初ワインが高い飲み物だったアメリカでは、30数年前の70年代末、店頭でテーブル・ワインが一本3~4ドルと手頃な値段に下がり、普及した。今では、フランス、イタリアを抜いて、国としては世界一の消費国である。世界のワインの年間消費量27億ケース(1ケース12本)のほぼ12%に当たる3億3千万ケース(40億本近く)を消費している。
日本でもバブル期を経て1本1000円以下のワインが普及した。日本の年間消費量は25万klほど。1本750mlとして、2800万ケースほどとなる。割りに少ないんだなあ。世界のシェアで1%ほどか。アメリカの8.5%ほどの量しか飲んでいない。アメリカ人が1ケース買うときに、日本人は1本買う勘定だ。
タイでは、ワインはまだ高い飲み物だが、ようやく一本300~400バーツ(900~1200円)の安いものが出てきた。後、もう少しのように思う。
■新旧ワインメーカーが狙う巨大市場
欧州の経済地盤が沈下するにつれ、新旧ワイン・メーカーは、アジア、中でも人口14億人を抱える中国市場を視野に入れてきた。11月第2週に香港で開かれたワイン・スピリッツ・トレードフェアには、世界37カ国から1000の展示企業が集まったという。
香港は、2008年にワインの輸入関税を撤廃してアジアのワイン・センターになることを目指している。2011年も9ヶ月でワインの輸入金額は9億4000万ドル(約732億円)へと前年比60%増を記録している。
■急伸する中国ワイン消費、今年は英国を抜きさり世界5位に
中国のワイン消費はここ数年伸びてきたところだ。2011年は英国を上回り、世界第5位のワイン消費国になると、「IWSR」(国際ワイン・スピリット・リサーチ)により予測されている。アメリカ、イタリア、フランス、ドイツ、中国、イギリスの順になりそうだ。2015年には、アメリカを抜き、世界トップのワイン消費国になろうと言う予測も、別のところから出ている。
Wine / isante_magazine
中国の2010年の消費量1億2500万ケース(1億8000万ケースという数字もあるが)は、2016年には倍増の2億5000万ケースになろうとIWSRは見ている(この予想ではアメリカには追いつかないが……)。
■14万円のワインを300本、ワインオークション史上最高額
いずれにせよ、伸びることは間違いないのだろう。9月にはクリスティーのオークションで、中国人がプレミアム・ワインの「シャトー・ラフィット・ロチルド」(1981-2005年物)25ケース300本を、ワイン・オークション史上最高の54万1000ドル(約4210万円)で落札し話題となった。1本あたり1800ドル(14万円)である。
中国のワイン市場は、金持ちがコレクションやお祝い用に買う高級ワインと、1本数ドル(1ドル約78円)の安いワインに分かれている。中間のワインがまだ広まっていないそうだ。アルコール度数の高い蒸留酒バイジウ(白酒)で乾杯する国の文化にまだ入り込めていない。酒は食べ物に合わせて味わうものではなく、いまだ酔っ払うための飲み物だ。タイに似ている。
白酒 / gianstep
余談だが、昨年ホーチミン市へ行ったら、街角のレストランでベトナムの女性がふたりで赤ワインで乾杯していた。フランスが宗主国だった国は違う……。アジアでワインが広まるのはうれしい。早くチェンマイにも安くてうまいワインが出回って欲しいものだ。
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*当記事はブログ「チェンマイUpdate」の許可を得て転載したものです。