中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年12月02日
■友人の清貧ライフ
国慶節に友人の家に遊びに行った。友人はいわゆる「めざとい人間」で、不動産が値上がりする前に1平米4000元(約4万8000円)でその家を手に入れている。今は2万元(約24万円)を優に超えているのだが。私の収入は友人と大差ないが、腎臓や血まで売り払っても買えやしない値段だ。
家に言ってみて驚いた。ご近所が引っ越す時に安く買ったぼろぼろのテーブル。マイカーは車庫でほこりをかぶったまま。汚職告発を恐れる官僚でもあるまいに、なんでこんな質素な生活をしているのだろう?
友人曰く、双子が生まれたことが不幸だった、と。もう中学生になっているが、子どもたちが優秀ならば大学から留学させる予定、優秀じゃなければ高校から留学させる予定なのでお金がいるというのだ。留学先は米国か、英国。英国ならば年に1人40万元(約480万円)、米国なら30万元(約360万円)は必要になるのだという。
そんなに留学させたいのならば自分で移民すればいいじゃないかというと、「とっくに検討済み」と友人はぴしゃり。自宅を売り払えば投資移民の資格で移民できるだろう。だが、それではその後の生活は成り立たない。
(投資移民とは不動産などに一定金額以上を投資した場合、移民として滞在する権利を与える制度。米国などの国で導入されている。)
■地鶏専門家の移民
我が友人のような「エセ中産階層」にとっても投資移民は手が届かないものらしい。となると、専門技術を認められての技能移民しかないだろう。2001年にある移民ビジネスをてがける中国系米国人と知り合い、「どうしたら移民できるか?」を語り合ったことがある。時は中国のWTO加盟直後。中国経済の明るい未来が開けた時期であり、たんなるお話にとどまるものだった。
その時、話に出た最も有効な方法は次のようなものだった。まず米国在住の知り合いに頼み込み、新聞に広告を出してもらう。中国の地鶏を育てる人材募集、中国特有のランを育てる人材募集といった内容でだ。応募してくる者がいても全員追い返す。半年もの間、広告を載せ続けた後、知り合いを移民局に行かせ、こう言わせるのだ。
「ここじゃ中国の地鶏を育てられる人なんか見つかりませんよ。これはもう仕方ありません。中国から専門家を呼んでくるしかありませんね」、と。これで専門家に扮した人は楽々グリーンカードを手に入れられるというわけだ。
さて、10年後の今、新聞やネットでは中国の富裕層が大挙移民しているとのニュースが伝えられている。彼らはいったいどんな情報を得て、移民を急いでいるのだろう?投資移民にはなれない私は技能移民になるしかない。あわてて10年前に知り合った中国系米国人に連絡を取った。だが、答えはというと、「その裏技は乱発されすぎちゃってね。もう移民局は引っかからないよ」という残酷なものだった。
■道教に狂った同僚、その理由とは
がっくりした私だが、それから数日後、職場の同僚がおかしなことになっているのを知った。毎日のように宅配便が届くのが、それがすべて古本なのだ。中身は風水やら占いやらというものばかり。同僚の夫曰く、夫婦の生活がないどころか、朝の4時、5時まで風水の研究につきあわされるのだとか。
そればかりか、同僚は風水のチャットグループに加入し、ネットの仲間たちとなにやら呪文のような専門用語を唱えている。何をやっているのかと聞いてみると、道術の研究との答え。文芸雑誌の編集者がそんなものを覚えてどうするの?といぶかしがる私たちに、同僚は言った。
「道教は中華民族独占の技術じゃないの。他の国にはないものなの。マスターしたら米移民局に駆け込んで、アメリカで「易学館」を開く申請をするのよ。道術を主力製品に、風水、占い事業もサブで展開。これほどはっきりした技術移民の理由はないでしょ。米移民局も反論できないわよ。」
この答えには驚いた。いやはや、お金を突っ込む以外の移民方法があったとは?!*小見出しはChinanews。訳文は抄訳。