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税金40兆円にムダ遣いの危機=「突撃花銭」が話題に―中国

2011年12月03日

2011年もそろそろ暮れを迎えようとしているが、中国では年度末までに予算を消費しなければと焦るお役所の「突撃花銭」(駆け込み予算消費)が話題となっている。



施工 Construction / The Fool's Age of Wandering


42兆円予算駆け込み消化 年末を控え中国官公庁
東京新聞、2011年12月2日

中国紙・中国青年報は、十一、十二月分の二カ月分の余った予算三兆五千億元(約四十二兆円)について、財政当局は予算の使途をはっきりさせるべきだと注文した。

中国では年末が近づくと道路の補修工事が増えたり、官公庁関係のパソコン買い替えや高級車の購入、宴席などが急増するとされる。湖南省の官公庁は予算消化のためにオーディオセットを定価の二倍以上の一万九千元(約二十三万円)で購入したという。

年度末が近づくと、道路を掘り返しお役所の備品購入が急増するのは日本も一緒ではあるが、しかし3兆5000億元という金額は半端ない。

東京新聞の元ネタとなった11月23日付中国青年報を参照した。中央政府から地方自治体まで各級政府の経費支出を月別で見ると、2007年には1兆2000億元(約14兆4000億円)、年間予算の25%超を12月だけで支出している。

2008年には1兆5000億元(約18兆円)、2009年には2兆元(約24兆円)という膨大な金額だ。2011年の11月段階でいまだ3兆5000億元(約42億円)の予算が執行されておらず、これから「突撃花銭」を迎えると予想している。たんに12月に経費支出が集中するだけではなく、駆け込み予算消費ではまともな入札も行われず、無駄金が多いのではないかというのが記事の指摘だ。


■「突撃花銭」を生み出す「超収」問題

中国青年報の報道を受け、中国各紙は「突撃花銭」問題を一斉にとりあげている。その中でなるほどと勉強になったのが「歳入超過」(超収)の問題だ。12月2日付中国経営報の記事がよくまとまっているが、中国では毎年、歳入が年初予算案を上回るため、その超過分を年末にどかっと使うことになるという。

なるほど、中国は年8%成長を目標にしつつも、毎年「予想外の大勝利」を繰り返し、2ケタ成長を続けてきた。もちろん、歳入も「予想以上の収入」を続けている。その分、当初予算案になかったお金が生まれてくるという寸法だ。今年も10月時点で年初予定歳入を実現しているのだとか。

予算のやりくりにきゅうきゅうとしている日本の地方自治体から見ると、なんとも羨ましい話ではないか。


■人民の力でムダ遣いを防いでください!

批判が高まる中、ムダ遣い的「突撃花銭は絶対に防止いたします」と宣言したのが中国財政部。11月30日、廖暁軍副部長は全国財政予算施行業務ビデオ会議の席上、10月末時点の予算消化額は7兆8000億元(約93兆6000億円)で、残る2カ月を残した時点で未執行予算額が2兆2000億元(約26兆4000億円)あり、これに「超収」を加えた予算が残っていることを認めた(財新網)。

とはいえ、予算執行の情報公開を進めることで、人民の監督を受け、ムダ遣いを抑止すると強調。「突撃花銭」を防ぐ決意を示した。いや、決意を示したというよりは、「ちゃんとチェックしてね」と人民に仕事を放り投げたというべきか。また「超収」に関しては“一部”は今年度内に使われるが、その他は財政安定化基金に組み入れられ、ムダ遣いはしないとも説明している。

以前にも本サイトで取り上げたが、情報公開の結果、iPod Touchを「多機能ハードディスク」名目で購入しようとしたお役所がばれたこともあるとはいえ、まだまだ不十分な中国の情報公開制度や予算を監視するようなNGOの設立を認可していないことを考えると、無理なお願いのように思うのだが。
(関連記事:iPod Touchは多機能ハードディスク?!経費でこっそり購入しようとしたお役所―四川省


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