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スマフォ、タブレット、PC、テレビがクラウドでつながる=レノボ新戦略でクラウド戦国時代到来か―中国

2011年12月04日

2011年11月29日、中国パソコン最大手・レノボは「パーソナル・クラウド」構想を発表した。スマートフォン、タブレット、パソコン、そしてスマートテレビの各端末が同じクラウドスペースを共有できるのが目玉だ。


Lenovo Smartbook Skylight - CES Unveiled
Lenovo Smartbook Skylight - CES Unveiled / Masaru Kamikura



■レノボのパーソナル・クラウド

保存容量200ギガ、レノボが個人向け無料クラウド テレビも発売へ
日本経済新聞、2011年11月29日

中国パソコン最大手のレノボ・グループ(聯想集団)は29日、映像や音楽などをインターネットを通じて携帯端末やパソコンなどの間で共有できる無料クラウドサービスを始めると発表した。サービスを利用できる端末を拡充する計画で、来年初めにテレビも発売する。米アップルが同様のサービスを始めており、レノボは品ぞろえの豊富さでアップルを追撃する。

新サービスは「楽雲」(レノボ・クラウド)。利用者が持つレノボ製品の間で映像や音楽、ゲーム、電子書籍を自動的に共有できる。1利用者当たりの最大記憶容量は200ギガ(ギガは10億)で、無料としては世界最大という。

具体的にはレノボのスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)で購入した映画やゲームなどが、タブレット(多機能携帯端末)やパソコンなどで楽しめる。交流サイト(SNS)や簡易ブログも、異なる端末で簡単に使えるようにする。

日経のタイトルでは200GBが強調されているが、ポイントは「スマートフォン、タブレット、パソコン、スマートテレビ」と4種類の端末をそろえたことだろう(テレビは来春発売だが)。クラウドブーム到来の兆しを見せつつある中国だが、すべてのディスプレイをクラウドにつなぐ構想はレノボだけだからだ。


■アリババ、百度、レノボのクラウド競争

中国のクラウド競争、そのきっかけとなったのはグーグルのモバイルOS・Androidだった。各社自由なカスタマイズが許されているだけに、一定規模以上のメーカーは独自のインターフェースを備えたAndroidベースの「自社」OSを開発している。その中でも最近目立つのが大手IT企業の「自社OS」。

アリババの「阿里雲」、百度の「Baidu Yi」が登場しているがいずれも目玉はクラウドだ。「阿里雲」OS搭載機を購入した場合には100GBのクラウドスペースを提供。「Baidu Yi」にいたってはなんと「無制限」のクラウドスペースが提供される。後発となったレノボは200GBと両者の中間になる。

ここで一度、クラウドについて整理しておくと、自前のパソコンや携帯電話ではなく、インターネットを通じてサービスを使うこと。ウェブメールのようにネット経由でアプリケーションを使うこともクラウドだが、現在の中国では主にストレージサービスの提供が中心となっている。ネット回線が不安定な事情を考えれば、仕方がないところだろうか。

海賊版大国・中国では画像・写真であれ、音楽であれ、動画であれ、こうしたデータは無限かつ無料で入手できてしまう。これをハードディスクではなくて、ネットにしまっておいてはどうですかというのが主要なお誘いとなる。レノボが面白いのはテレビからもアクセスできること。パソコンで保存した海賊版動画をテレビでも、スマートフォンでも見られるという「中国海賊版ライフ」にぴったりの構想だろう。


■クラウドとスマートテレビの戦国時代が幕開け

クラウドにはともかく金がかかる。そのための設備投資、帯域費用は大手企業しか担えないのではないか。高付加価値サービスで世界的な企業を育てたい中国政府は、第12期5カ年計画でクラウド産業支援計画を実施し、企業に支援金をばらまく予定だが、これも主に大手企業に限られているようだ。百花繚乱の中国Android市場、独自OS市場もクラウドがハードルとなって淘汰されていく可能性も高そうだ。
(関連リンク:「【中証視点】クラウドに想外の政策支援、収益モデルの確立が課題」サーチナ、2011年11月25日)

熾烈なクラウド競争が展開される中国市場。その中でもスマートテレビを打ち出したレノボは興味深い存在となる。アリババ、百度もテレビ事情に乗り出すのか。今までもインターネットテレビを作っては大敗してきた中国家電メーカーはどのような動きを見せるのか。そして本家(?)グーグルTV、あるいはテレビ事業進出がささやかれるアップルは、中国市場でシェアを築けるのか。

野次馬としてはたまらなく面白い展開となりそうだ。


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