• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

中国人オタクに衝撃!テレ東、中国動画サイトに「NARUTO」を配信(百元)

2011年12月05日

■中国オタクとファンサブグループがテレ東が「NARUTO」「BLEACH」を中国動画サイトで配信することに衝撃を受けている模様■

*当記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の許可を得て転載したものです。


12月からテレビ東京が「NARUTO」「BLEACH」「SKET DANCE」を中国の大手動画配信サイト「土豆」(tudou)で中国語字幕での即日配信を行うそうです。

■関連記事
テレビ東京の「英断」は日本アニメを救うのか?中国動画共有サイトでの配信決定

■関連リンク
テレビ東京、「NARUTO」などアニメ作品を中国で即日無料配信へ!違法視聴対策の一環か(シネマトゥデイ、2011年11月25日)
「NARUTO」放映当日に中国で配信 テレ東のアニメ (朝日新聞、2011年11月24日)

「NARUTO」や「BLEACH」は今でこそ中国オタクの「オタク」を自認するような層からは「民工動画」などという蔑称混じりな呼ばれ方をされ、「一 般人の見るもの」と妙に軽く扱われていたりもするのですが、現在の中国オタク層のほとんどはこの作品を経てオタクになっています。

それにライト層のファンは今でもかなり多いですし、現在もなんだかんだで「NARUTO」と「BLEACH」は日本アニメの象徴的な存在となっていますから、「NARUTO」と「BLEACH」「現代中国オタクの基礎知識」と言っても過言ではないかと思います。

20111204_中国_テレビ東京_NARUTO20111204_中国_テレビ東京
*左:「NARUTO」 右:「BLEACH」


そういったこともあるので、「NARUTO」や「BLEACH」の中国の動画サイトでの字幕配信は、中国オタクにとってかなり驚く話だったそうです。特 に、アニメに中国語字幕をつけてネットに勝手にアップしちゃうファンサブ活動を行っている「字幕組」と関係のあるディープな層にとっては大きな衝撃だった とか。
(字幕組については「「日本アニメをみんなに見せたいだけ」海賊版王国・中国を支えるボランティアたち」を参照)

そんな訳で、今回は中国のソッチ系の掲示板で見かけたその辺のやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。

テレビ東京がウチの国の「土豆」でアニメの配信を行うそうだ。しかも、「NARUTO」「BLEACH」という超大型の作品を即時配信するらしいぞ!!

20111204_土豆網_tudou_中国
youkuと並ぶ中国動画投稿サイト大手、『土豆網』。

これは驚いた……しかし中国では儲けるのは難しいと思うんだが、一体どういう目的で行っているんだろうか?ダンピングして市場を独占するとかなのか?ウチの国での成功例を見るとフリーで広めて独占し、その後広告や付加価値商品で儲けるのがテンプレだし。


字幕版なら悪くないね。中国語吹き替えとかだったら見る気無くしてた。


今の時代、中国での即時配信とかやっても大したコストはかからんだろうからな。正規のDVDを流通させようとするよりはまだ望みがあるし、ダメ元で中国市場開拓をするとかじゃないかな。それにしても、「NARUTO」や「BLEACH」というでかいタイトルだと字幕組への影響が気になるな。


これはスゴイ動きが来たな……でも合理的というかある意味当然という気がする。正規ルートのアニメって今のウチの国の政策から中国の市場に入ってこれないし、利益は上げられない。しかも消費者はタダでダウンロードして見るのに慣れちゃっているし、知財的な保護も期待できない。それならこういった方法でタダで広めてルート確保する方針に切り替えるってのは納得できる。


でも、これ儲かるのか?土豆から支払われる金なんて大した額じゃないだろうし、ディスクも関連商品もウチの国では関係ないから、仮に高い視聴率を取れたって意味が無いだろうに。


これってまずは字幕組を全部潰して、それから有料サービスに移るとかじゃないかなぁと……。


今後の課金モデルのためにまずはタダで始めたって所じゃないの?どっちにしろ俺はネットで落とすけど、字幕組の活動が縮小しそうなのはちょっと不安だな。


「ガンダムAGE」も既に別の動画サイトの「奇芸」に来ているし、これも時代の流れか。ここ数年、日本のアニメ市場は縮小しているし中国市場にも目を向けるようになってきているのだろうか。

機動戦士ガンダムAGE 第1巻 [DVD]

今後は字幕組みたいな知財的に問題のある活動は縮小方向になってしまうのかな……正規ルートが入ってくるのは嬉しいんだけど、いざそれが目の前に来ると何とも複雑な気分になる。字幕がオフィシャルのものだけになって、各字幕組がつける特徴のある字幕を見てどうのこうのやるのも、今後はできなくなるんだろうか。


土豆だと画質がダメだろ。転送速度などのハードウェア的な面から限界があるし、ちゃんとした画質での配信をやれるとは思えん。見る気にならんよ。


画質とかそこまで問題にならん。こういうアニメ見るのはオタク層だけじゃないぞ?それに日本から直接ソースファイルをもらえるんだから、一定以上のレベルにはしてくると思う。日本のデジタル放送やBDレベルの画質なんてのを要求をするのはごく一部だろ。


これって字幕組に対するプレッシャーは知的財産保護によるものの他に、視聴者の移動によるものがあるよな。視聴者が少なくなるということは字幕組の活動に対する反応も減るし、実質赤字で大した額じゃないとはいえある種の励みになっていた広告収入や課金収入も減るわけだから、熱意が無くなって活動が衰退していくように思う。


確かに中国国内の動画サイトへのコンテンツ提供は、間違いなく字幕組に対する打撃になるだろう。日本のテレビ局がどこまで考えているかは分からんが。悪いことではないし、文句言うことでもないのは理解しているが、自分の今までのオタクのライフスタイルが崩壊するんじゃないかと不安を感じてしまう。


私も不安だ。字幕組の活動って中国のオタクの好みに合った方向で発展しているから、正規ルートでは難しいような所もカバーしていたし、中国オタクの生活の一部になってるんだよね。字幕組にはネタの発信源や、濃いオタクの活動の場みたいな側面もあったからそういうのまでも無くなるというのはちょっと……。


こんだけネットに動画が流れている時代だし、日本側もやって損は無いってことなんだろうな。やらなきゃ0、下手すりゃマイナスのままだけど、やれば少しは宣伝になる。ネットだから高額の宣伝費用も必要ない。土豆にしても安く正規のコンテンツが手に入るわけだし、他にかかる費用は翻訳字幕をつけるくらいだろうから悪くない。


日本は版権管理が複雑になっているから中国に売る場合利益が少なすぎて難しいと思っていたんだがなぁ。字幕組への影響を心配するのも理解できるが、個人的にはこういった流れが増えると中国でのイベントも増えるだろうからちょっと期待だ。


売って価値が下がるものと下がらないものを日本側がきっちり分けてきたのかもね。希少価値のある昔の名作やDVDの映像特典、高画質での放映は安く売ったら価値が下がるけど、テレビで普通に放映しているような作品の場合、中国国外で放映するくらいなら問題ないと判断しているんだろう。


さすがにこの動きが字幕組に何の影響もないとは思えない。楽観的に考えることはできないわ。


来るなら来るで全部来てほしいね。中途半端な結果に終わるのは厄介。現段階だと、もし現在字幕組をやっている層がやめちゃったらこういった「主流」の作品や子供向けの作品しか見れなくなる。ウチの国のアニメ好きにとっては大ダメージだ。


心配になるのは分かるけど、とりあえずは大丈夫なんじゃないか?深夜枠のサービスシーンがあるような作品はウチの国の基準だと無理だろうし、そういった作品に関してはまだ字幕組が活動する余地はあるだろ。


日本側はそこまで一気に動かないだろうけど、動画サイトの土豆側が金儲けに走ることも不安だ。そうなったら国内ユーザーが離れてオタク市場は更に壊れる。


土豆の規模だったら広告費で普通にいけるんじゃないか?日本のアニメ流しているということなら、日系企業の広告も取り易くなるだろうし。日本側も恐らく利益目的の他に海賊版対策という目的が結構あるんじゃないかね。


まぁ、ヘンな所が金を儲けるよりかはまだ納得できるし、露骨な金儲けに走っているわけでもないからいいんじゃないか?俺は日本のアニメや漫画が好きだから歓迎するよ。

とまぁ、こんな感じで。ここ最近の様々な動きや中国オタク的環境の変化に戸惑っている中国オタクも少なくないようです。


■正規配信という変化に怯える字幕組


中国オタクの活動は「字幕組」によるファンサブ字幕付きのアニメを見るのが大きな部分を占めていましたし、ここ最近のネットの動画サイトによる中国語字幕版の正規配信というのは、今までの中国オタクのスタイルには無かったものです。そういった「変化」に不安を感じたりもしてしまうのかもしれませんね。


■放送に比べ緩いネット動画規制


中国オタクの不安はさておき、この動き自体は日本のアニメ業界にとっては結構面白いことになるんじゃないでしょうか。現在中国ではテレビで日本のアニメを放映するのは規制や手続きなどからかなり難しいのですが、ネットの動画サイトに関してはわりと簡単になっているそうですし。

聞いた話によればテレビの場合は輸入手続きを行わなければいけないので即日配信というのは無理ですが、ネットの動画は動画サイト側が中国の「情報ネットワーク視聴番組配信許可証」を持っていれば、よほどのことが無い限り内容審査と版権審査なしの実質フリーでいけるそうです。


■人気コンテンツを抱えるテレ東の中国市場開拓に期待


テレビ東京は他にも「ポケモン」などの中国で人気の高い作品を持っていますし、中国進出でよく聞くような現地とのやり取りのノウハウや傾向を把握する前に大盤振る舞いをしてグダグダになるといったことがなければうまくいきそうに思えます。

20111204_テレビ東京

大成功するということに関してはちょっと分かりませんが、手堅くいく分には中国の市場を開拓することが十分に可能なんじゃないでしょうか。何はともあれ今後の展開がとても気になりますね。

とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

関連記事:
「日本アニメをみんなに見せたいだけ」海賊版王国・中国を支えるボランティアたち
アニメ『Fate/Zero』、ニコ動8カ国語字幕放送決定=公式翻訳に中国人オタク歓喜も……―中国オタ事情
アニメ『Fate/Zero』、公式中国語字幕という新たな試み=中国オタの反応は?(百元)
集合知的ファンサブ?!「野生字幕君」の誕生=ビリビリ動画から見える中国のオタク文化―北京文芸日記

*当記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の許可を得て転載したものです。


コメント欄を開く

ページのトップへ