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「儲かりすぎてすまん」銀行頭取の素直すぎる発言に批判殺到―中国

2011年12月06日

中国民生銀行の洪崎頭取が「銀行儲かりすぎてすまん。申し訳なさすぎて利益を公表できないよ」と発言、話題となっている。


中国銀行/Bank of China/中国银行
中国銀行/Bank of China/中国银行 / kanegen


■儲かりすぎてすまん

先日はCCTVトップの素直発言「君たちはメディアじゃない!党のプロパガンダ担当者だ=CCTV新トップのお言葉」をご紹介したが、今回は銀行トップの素直発言だ。

2011年12月1日、「2011年世界企業家ハイレベルフォーラム」に参加した洪頭取。全産業の中で唯一、銀行業界だけが高利益で、かつ不良債権率も低いと説明し、「(銀行業界の)みなも「為富不仁」(金持ちはずるい)だとちょっと感じています。企業はあんな低利益なのに銀行はこんなに高利益。あんまりにも儲かりすぎて、時には申し訳なくて公表できないほどです」と発言した。

他にも、実体経済の繁栄こそが銀行業の基盤であり、銀行だけが繁栄するなどということはありえないこと。銀行業の健全な発展はリソースの分配を効率化し実体経済に寄与すること。中国の銀行は国有から民間に移行すべきことなどを訴えたが、「儲かりすぎてすまん」という面白すぎる発言部分だけが注目され、波紋が広がっている。


■儲けすぎの銀行が中国経済をゆがめた

当然の如く、洪頭取の素直すぎる発言にはバッシングの嵐が吹き荒れた。批判を類型化してみると、以下のようになる。

(1)「銀行幹部の年俸は100万元(約1200万円)をはるかに上回る」(経済導報)という給料高すぎ系の批判。

(2)「銀行業の本義である投資ではなくて、口座管理費とか手続き費用とかの雑費が銀行業の収益の半分を占めている。一般の顧客からご無体に金をむしっているだけ。しかも中小企業には金を貸さないし、おまえら中国の銀行が中国の畸形経済を作り出している」という批判(華声在線)。

(3)護送船団方式で競争がないから利息が低いまま。金を預けた一般顧客が損をして銀行が儲けているという批判(財経網)。


■中国人の「投機好き」は銀行のせい

まあ、それぞれごもっともな批判である。特に預金金利を低く抑えていることは、中国人の「投機好き」を加速させていることは間違いない。なにせインフレ率を下回る利息しかつかないのだから、銀行に預けていれば資産は実質目減りしてしまうのだ。

かくして「インフレ率よりも大きく資産を増やす方法」といった指南書が書店にあふれ、みなみなめざとく投資機会を探し、「銀行に預けるよりも闇金に資金を提供したほうがよっぽど儲かるぜ」と民間金融に資金が集中したり、「高級白酒は100%値上がりするし痛まないから、投資として酒を買おうぜ」的な動きが加速したりという面白い状況が生まれている。


■中国銀行業の悩み

銀行に限らず、エネルギーやメディアなど大型国有企業が独占する市場は、その特権的地位を利用して荒稼ぎしている。幹部に限らず、末端職員まで高めの給料と手厚い福利厚生でおいしい思いをしているのだ。

とはいえ、お国の指揮下にあることがデメリットに働くこともある。先日、上海市、浙江省、広東省、深圳市の地方政府は地方債を独自発行したが、入札の結果、利率は国債を下回る水準となった。「中国よりも上海のほうが信じられる」というありえない状況だ。

当局は「タイミングの問題で、行き先を求めていた資金が集中したから、かも」と苦しい説明を続けていたが、地方政府の命を受けた金融機関が必死こいて入札した可能性が高い。お上に与えられた特権で食っている以上、お上の命令には刃向かえない。たとえリスクが高くとも突撃しなければならない、という状況になっている。

まあ、お上の命令に従った結果大損こいたとしても、最終的には政府が尻ぬぐいをしてくれるわけで、たいしたデメリットではないのかもしれないが。


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