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【中国ネタスレ】今、二次大戦が起きたら中国メディアはどう報道するか?

2011年12月06日

中国ネット掲示板のネタ書き込み「もし今、第二次世界大戦が起きたら、CCAVは必ずやこういうふうに報道するだろう」が、不謹慎ながらなかなか秀逸なのでご紹介したい。


■CCTVとCCAV

問題のネタスレは、「假如二战发生在今天,CCAV想必会如此报道」というタイトル。2011年12月6日現在、3000件以上の転載記事が確認できる。

CCAVとは、中国最大のテレビ局・中国中央電視台(CCTV)を茶化した言葉。AVという性的ワードを付けると、相手の正当性やら権威やらを否定できるという発想がちょっと面白い。前近代の中国だと、呪術を使う道士に女性器を見せると神通力を失う……などという逸話が残っていたりするが、あんまり発想は変わらないのかもしれない。

ちなみにCCTVを茶化したネタスレとしては、以前にも記事「中国ネット民が解き明かすプロパガンダ・ニュースの全て―金ブリ浪人のススメ」で取り上げている。


■もし今、第二次世界大戦が起きたら、CCAVは必ずやこういうふうに報道するだろう


というわけで、以下はネタスレの内容。タイトル通り、今、第二次世界大戦が起きたらCCTVはどのように報道するかという架空の想定で書かれたものだ。主にリビア内戦に対する中国の反応をネタ元にしている。

(1)「ドイツとポーランドが開戦=国連は会議を招集、中国は平和を訴え称賛される」

英国、フランスはドイツへの制裁案を提出。中国は反対票を投じた。その後の記者会見で、中国代表は次のようにコメントした。

我が国は一貫して交渉と平和による紛争解決を訴えてきた。ドイツ、ポーランドの両国に抑制と事態の拡大抑止を呼びかける。両国の問題は両国人民自身の手でしか解決できない。両国の努力によりい和解が成立し、事態の発展を抑止するよう求める。


(2)米パールハーバーに「12.7」テロ攻撃=米国はただちに日独伊に宣戦」

1:「米国の宣戦布告、その狙いとは?」
テロ攻撃を受け、米国はただちに日本と欧州に対する軍事行動を開始した。これは「12.7」テロが米国に口実を与えたことを説明したようなものである。日本に対する軍事行動は現地の複雑な情勢を解消することはできない。ドイツに対する開戦はさらに常軌を逸したものだ。あらゆる証拠が示すとおり、ヒトラーは「12.7」テロに参加していない。


2:ネット世論
ネット民A:よくやった!日本人は英雄だ!
ネット民B:武士道精神すげぇ!米国もやばいだろ。米国人をぶっ殺せ!
ネット民C:日本って邪悪なファシズム国家じゃん。米国を支持するべきでは?
C以外のネット民:おまえは漢奸(売国奴)だ!中国から出て行け!日本人万歳!


3:張召忠インタビュー(テレビ番組にて
(張氏は国防大学教授、海軍少将。リビア内戦関連のテレビ番組で、英仏が勝てるとは限らない、英仏兵士の死傷者数が膨大な数に上っているなど、カダフィ寄りの解説をして話題となった。以下は張教授による解説をもじったもの)

20111206_写真_CCTV_CCAV_ネットジョーク_張招中
*張教授の写真、オモシロ発言、ネット民の嘲笑がセットになった画像。

米国の日本に対する宣戦ですが、勝敗の予想は難しいと言えましょう。日本はスペインではないのです。近年の発展により軍事力は大いに増強されています。もちろん米国と比べればやや劣りますが、忘れてはならないのは日本はアジアの国であり、本土で戦うということです。天の時、地の利、人の和は日本にあります。

日本の武士道精神は西洋人には想像できないものでしょう。最近の世論調査によると、日本占領区の天皇に対する忠誠度は100%です。日本占領区では全民皆兵と言ってよいでしょう。日本人民は西洋植民者の捲土重来を許しません。米国は対面するのは人民戦争の大海原です。


4:米軍兵士の死傷者数は12万人を突破=米国はいつまで戦えるのか?

ノルマンディー上陸後、米国の死傷者数は急激に増加している。欧州情勢は好転するどころか、より深い混乱へと陥っている。ドイツ軍は「故郷を守れ」という鼓舞を受け、頑強な抵抗を続けている。短期決戦を目指した米軍の狙いはすでに破綻している。


5:プライベート・ライアン=一家全員の戦死は何を意味しているのか?

昨日、一通の戦没通知書が届いた。ライアン一家は今回の終わり無き戦争に3人の命を費やしたのだ。現在、多くの米国人青年は故郷をはるか離れた異国の地で命を落としている。ルーズベルト大統領の戦争は米国人民に尽きることのない痛みを与えているのだ。


6:米国参戦の真相=兵器メーカーと褐炭資源

米軍の参戦に伴い、兵器メーカーは大いに財をなしている。ボーイング、ノースロップ・グラマンなど大企業にはひっきりなしに発注が舞い込んでいる。事実が証明するとおり、ルーズベルトの義弟の同級生のお隣さんの愛人のいとこは、ボーイング社CEOだ。今回の戦争は親戚に稼がせ、自己の名声を獲得するためのものだったのだ。

また、独ルール地方の褐炭資源もまた、米国が戦争を起こした背景である。統計によると、米国の褐炭のうち40%はルール地方産出のもの。また、米国の黒ビール、ウインナーの80%、ベンツとライカの100%はドイツ製である。ここにおいて今回の戦争の目的は明らかであろう。


7:張氏インタビュー(戦争終結後)

張:ヒトラーが自殺したとはとても信じられませんね。彼は戦死ですからね。自殺するはずがありません。思うに、すでに地下に潜伏しゲリラ戦の指揮を執っているのではないでしょうか。ドイツの地勢はきわめて複雑で、ゲリラ戦を展開するのに適しています。戦争にはまだ拡大の危険性がある。そう考えますね……。

司会者:申し訳ありません。速報が入りました。DNA鑑定の結果、ベルリン地下室の遺体はヒトラー本人と確認されました。見解をお聞かせください。

張:……理屈ではありえないことです、自殺するはずがありません……。(10分後)わかりました。彼は掲げる旗を変えることで、ドイツ人民による占領者との戦いを鼓舞しようしているのです。そうです、そうです。間違いありません。こうなんだ!戦争にはやはり拡大の危険性がある!私はそう思いますね!
(リビア情勢解説番組でこういう一幕があった……というコピペがネットにあふれているのだが、本当なのだろうか。さすがに出来すぎのような気がするが。「リビアにおけるカダフィの支持率は、米国におけるオバマの支持率を上回る」などの明言は事実。)



■十年一日のオモシロ報道

上記のネタスレと以前の記事「中国ネット民が解き明かすプロパガンダ・ニュースの全て―金ブリ浪人のススメ」を合わせてみていただくと、中国官制メディアがどんな報道を垂れ流しているか、それをネット民がどのように見て揶揄しているか、それなりに見えてくるのではないだろうか。

上記ネタスレは、張教授などリビア情勢が元ネタになっている。残念ながら私は日本に住んでいるので、毎日のように繰り返されるオモシロ報道を見ることはできなかったのだが、だいたい想像がつく。というのも1999年のコソボ空爆時に中国に住んでいたので、こうしたオモシロ報道に毎日さらされていた経験があるからだ。

まだ純真だった私は「戦闘機には必ず故障があります。故障率を1%としても、のべ1万回の出撃をしているわけですから、故障による墜落が100機には達しているはず。米軍はその事実を隠蔽しています」というような報道(記憶頼みなのでうろ覚え)を見て、「まじで?!米軍ピンチ、米軍ピンチ!」と驚いていた。あれから10年あまり、官制メディアのオモシロ報道っぷりは今もたいして変わらないようだ。


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