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チベット人焼身抗議の2つの意味=WSJが伝えたウーセル・コラム(tonbani)

2011年12月08日

■ウーセルさんのウォールストリートジャーナル掲載記事「チベット人は信仰と自由のために焼身する」■

*当記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の許可を得て転載したものです。


20111104_チベット_焼身自殺_尼僧_写真
*尼僧バルデン・チュツォ(享年35)


2011年12月6日付け米The Wall Street Journalに焼身抗議に関するウーセルさんの記事が掲載された。中国語原文がウーセルさんの7日付けのブログに掲載されている。WSJに掲載されたものは原文の要約であることが分る。以下、WSJ掲載分の英語からの訳を参考までに紹介する。

20111208_ウーセル_チベット_WSJ

*中国国内からチベット弾圧の実態を伝え続けるウーセル・ブログ。当ブログでの貴重な情報発信の功績が高く評価され、ウーセル女史は今年、2011年度オランダ・クラウス王子賞を受賞。

*閲覧注意。下記には壮絶な焼身抗議の写真、映像があります。
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『チベット人は信仰と自由のために焼身する』

Tibetans Burn for Their Faith and Freedom

The Communist Party cannot understand the meaning, or the power, of a believer's sacrifice.

文/ツェリン・ウーセル、2011年12月7日

1ヶ月前にラサを離れ、私は戒厳令下に住むことから解放された。至る所に兵士と警察がいた。しかし、チベット人にはどこに行こうと苦しみが付きまとう。また一人のチベット人が焼身したというニュースが入る。


■尼僧パルデン・チュツォの壮絶な焼身抗議映像


2009年以降13人の僧侶、尼僧が抗議の焼身を行った。もっとも悲惨だったのは先月35歳の尼僧パルデン・チュツォの焼身シーンだった。ビデオは3分もない。始まるや、人々は驚愕する。若い女性の身体全体が炎に包まれている。しかし、彼女は、燃え上がる松明のようにまっすぐ立ったままだ。涙が雨のように溢れ出、顔を両手で覆うしかなかった。



【閲覧注意】尼僧パルデン・チュツォの壮絶な焼身動画=祈りを捧げる人々―チベット(tonbani)
【閲覧注意】炎に包まれながらも合掌を崩さず=尼僧パルデン・チュツォの葬儀に1万人(tonbani)


■崩れ落ちた瞬間も合掌を崩さず


最初、私は彼女が炎から抜け、前に進み出て、法王の名を叫んでいるように感じた。しかし、もっとよく見ると彼女は一歩も前に踏み出すこともなく、少し前屈みになっただけで、立ちすくんでいた。周りの人々は、激しい炎が彼女の生気を奪う間、なす術もなく叫びを上げるばかりであった。若き尼僧が崩れ落ちた時、彼女は敬虔に両手を合わせたままであった。

20111208_チベット_焼身抗議

私はビデオに写っていた、この光景を目の前にして一言も叫ばなかったチベット人女性でありたいと思う。彼女は炎に包まれるパルデン・チュツォに近づき、敬意の印に白いカタを投げかけた。

20111108_チベット_焼身自殺_写真
*本土チベット人が伝えた焼身の写真(フェイスブックより)



■焼身の炎を点火させたのは「彼ら」


共産党はなぜこのようなことが起こるのかを理解しない。独裁者が信じるものは銃と金のみ。彼らは自分自身へも信を置かないし、偉大な利他的行為に人を導く信仰の力も理解できない。

チベット人は命を粗末にするほど馬鹿ではない。そうではなく、彼ら僧侶や尼僧を絶望の底に追いやり、焼身の炎を点火させたのは彼ら独裁者である。

如何なる宗教であろうと、それを真に脅かす大きな災難が降り掛かった時には、これを護るために殉教しようとする信者が必ず現れるものだ。文化大革命の時、西安の法門寺の僧侶たちは、紅衛兵が仏塔を破壊するのを止めるために焼身抗議を行った。


■役人に統治された僧院

チベットの全ての僧院には中国の役人と警官がいる。彼らは全ての僧侶と尼僧を洗脳するために党により送り込まれたのだ。ダライ・ラマを悪魔だと批難し、共産党が彼らの救世主だと認め手を上げさせるためにだ。

中国政府は焼身抗議するチベット人たちが抵抗運動を鼓舞するのではないかと危惧している。焼身抗議の事実を隠し、その意味を曲解させるため如何に努力しようとも、真実は広まり続ける。高天原で、チベット人は銃口の前に立つ。「燃え上がる殉教者」になろうとするチベット人は常にいる。


■2つの意味


彼らの犠牲には2つの意味がある。一つには信仰を守るため、もう一つは自由のために戦うため。死ぬ間際、燃え盛るチベット人たちは叫んだ。「チベットは解放されるべきだ!」「ダライ・ラマ法王の帰還を!」

*小見出しはKINBRICKS NOW水島が挿入。

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*当記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の許可を得て転載したものです。


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