中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2011年12月08日
*画像は城市信報の報道。赤で囲まれたのが暴行場面。
2011年12月5日付城市信報、7日付毎日経済新聞網を参照した。
■残酷な動画
先日来、中国の動画共有サイトでは「山西省朔州市懐仁県、星光大道カラオケ店前での街頭殺人」というタイトルの動画が話題となっていた。
*問題の動画。残酷シーンあり、閲覧注意。
監視カメラの映像と思われるものだが、路上で男が通行人の女性に襲いかかり、バッグを奪おうとするところから始まる。しばらくもみ合っていたかと思うと、男は上着から刃物を取り出し、女性をめった刺しにした。道路に倒れ込み動かなくなった後も、殴る蹴るの暴行を加え続けた。
ネットで注目されたことを受け、メディアも事件について報道を始めた。毎日経済新聞網によると、動画は11月30日午前9時、懐仁県星光大道のカラオケ店前で起きた殺人事件に間違いないと警察が認めた。
犯人は李瑞強(24歳、無職)。李は30日朝、買春をしようと星光大道などの風俗店を回ったが、どの店からも入店を断られた。金がないように見えたのか、それとも風俗店が断るほど異常な状態だったためか、その点については報じられていない。
入店を断られ憤っていた時に通りがかったのが被害者の徐さんだった。李は暴行目的でカラオケ店に連れ込もうとして襲いかかった。しかし、徐さんが抵抗したため、刃物で刺殺したのだという。
■中国社会の冷たさ
動画は数分間にわたる凄惨な暴行シーンを克明に写しだしている。その間には、通行人もいれば遠くから見ている野次馬もいた。しかし、誰一人として暴行を止めようとはしなかった。この人々の「冷たさ」が波紋を呼んでいる。
「冷たさ」の問題については今年10月に中国の新聞、テレビをにぎわす大きな事件があったばかりだ。それは広東省仏山市でのこと。2歳の少女が車にひき逃げされる事件があったが、通りがかった人は誰一人助けようとはしなかった。ひき逃げ犯の残酷さだけではなく、他人に無関心で冷たい中国社会の象徴的な事件だと解釈され、なぜ中国社会は冷たくなってしまったのか、なぜ中国人は暖かい心を失ってしまったのか、と社会的な議論を呼び起こした。
(関連記事:車にひかれ動かなくなった2歳の少女と見て見ぬふりをする通行人―広東省)
今回の事件もまた中国社会の冷たさを示すものだとネット民たちは指摘している。