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2011年12月08日
*画像は山東新聞網の報道。
■流行語「破壊的実験」の誕生
2011年12月6日付中国広播網、8日付万家在線が伝えた。
2011年12月5日、安徽省合肥市の道路高架橋建設現場でトラス橋桁が崩落する事故が起き、作業員6人が負傷した。うち1人が骨折の重傷となった。崩落したのは橋本体ではなく、工事用の臨時の橋桁だったと説明されているが、とはいえ重さ300トンの物体が落下したのだから、死者が出なかったのは幸運というべきかもしれない。
さて、笑ってしまうのはここから。事故の後、合肥市重点プロジェクト建設管理局はただちに記者会見を開き、「事故ではない。工事計画通りに「破壊的実験」を敢行しただけである。被害も作業員が一人、かすり傷を負っただけ」と主張した。「破壊的実験」という創造力あふれる言い訳はたちまち中国ネット界に広まり、流行語となる勢いを見せている。
■高鉄体と腕立て伏せ
中国のネット流行語は官僚の失言から生まれることが多い。まあ、民主主義の国ではないので、ネットで茶化し揶揄するぐらいしかやることがないと言ってしまえば、それまでだが。今年最大のヒットだったのは、中国鉄道部の王勇平報道官(当時)の一言。
7月23日の温州高速鉄道事故後、現地では壊れた車両をその場に埋めるという拙劣な事故隠しを敢行して、世界中の笑いものになった。記者会見でこの問題を追及された王報道官は、足場を固めるために車両を埋めたという謎の言い訳を披露。 そして「(現地からの)説明はこの通りです。後はあなたが信じるか信じないか、だ。私は信じます」と発言している。
この「後はあなたが信じるか信じないか、だ」という言い回しは「高鉄体」(高速鉄道文体)と名付けられ、ネット流行語として定着している。
(関連記事:「平民ども、うぜぇ。腹いっぱいならそれで我慢しとけ」官僚の正直すぎる失言が話題に―陝西省)
2008年には、女子中学生の性的暴行、殺人事件容疑について、警察は「男性は女子中学生と一緒に腕立て伏せをしていただけ」と苦しい釈明。数万人が参加する大暴動に発展したこともあった。
(関連リンク:「ロバの腕立て―女子中学生殺害への抗議暴動事件」レコードチャイナ、2009年1月8日)
今回の「破壊的実験」もインパクトでは腕立て伏せ級だと思うのだが、事件の被害という面で見るとちょっと「弱い」。やはり2011年の流行語大賞は高鉄体が最有力候補だろうか。
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朔州は、大同(雲崗石窟)から太原・平遥に移動する途中で通過したような気がします。